2026年10月3日 公開岡山県の高梁川水系で、10月2日から第3次取水制限が始まりました。主要6ダムの貯水率は29.4%(10月2日9時)で、平年の77.6%を大きく下回っています。農業用水は50%カットと、1994年の大渇水以来の厳しさです。旭川水系でも9月9日から取水制限が続いています。
「いつまで続くの?」「家の水道は止まる?」という疑問に答えるため、この記事では、国土交通省岡山河川事務所の発表資料をもとに、今の状況、解除の目安、雨が降らなかった場合の見通し、過去の渇水との比較をまとめました。6つのダムの中で、どこが特に減っているのかも集計しています。
高梁川・旭川の取水制限2026|今どうなっている?
| 水系 | 段階 | 期間 | 水道用水 | 工業用水 | 農業用水 | 貯水率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 高梁川 | 第1次 | 9月7日〜9月17日 | 5% | 10% | 20% | 40.8%(9/7) |
| 高梁川 | 第2次 | 9月18日〜10月1日 | 10% | 10% | 20% | 32.2%(9/18) |
| 高梁川 | 第3次 | 10月2日〜 | 10% | 15% | 50% | 29.4%(10/2) |
| 旭川 | 第1次 | 9月9日〜 | 10% | 10% | 30% | 69.2%(10/2) |
高梁川水系では、9月7日に3年ぶりの第1次取水制限が始まりました。9月18日に水道用水のカット率を10%に上げた第2次、10月2日正午からは工業用水15%・農業用水50%に強めた第3次に移っています。水道用水は「市民生活への影響」を考えて10%に据え置かれました。
岡山県も9月7日に副知事を本部長とする渇水対策本部を設置し、節水を呼びかけています。
出典:岡山県河川課「高梁川水系及び旭川水系の渇水情報」(2026年10月2日更新)、高梁川水系水利用協議会「10月2日、高梁川水系で第3次取水制限を実施」(10月1日)、旭川水系水利用協議会(9月8日)。表の農業用水は、第2次までは許可取水量から、第3次は実績取水量からのカット率です。
6つのダムのうち「新成羽川ダム」が18.9%まで減っている
高梁川水系の主要6ダムを1つずつ見ると、減り方にはかなり差があります。
| ダム | 利水容量 | 貯水量 | 貯水率 |
|---|---|---|---|
| 新成羽川ダム | 67,295千m³ | 12,719千m³ | 18.9% |
| 小阪部川ダム | 15,136千m³ | 3,771千m³ | 24.9% |
| 千屋ダム | 14,200千m³ | 7,877千m³ | 55.5% |
| 河本ダム | 5,252千m³ | 3,233千m³ | 61.6% |
| 三室川ダム | 4,100千m³ | 3,174千m³ | 77.4% |
| 高瀬川ダム | 580千m³ | 575千m³ | 99.1% |
カギになるのは新成羽川ダム(高梁市)です。6ダムの利水容量の63%をこのダムだけで占めているのに、貯水率は18.9%しかありません。高瀬川ダムは99.1%とほぼ満水ですが、容量が小さいので全体の貯水率にはほとんど効きません。6ダムの合計が29.4%にとどまっているのは、いちばん大きな新成羽川ダムが空に近いからです。
出典:岡山河川事務所「三水系の主要ダムの貯水状況」(2026年10月2日9時現在・速報値)。容量の割合は筆者計算。
高梁川の取水制限はいつまで?解除の目安と今後の見通し
取水制限は「いつまで」と期限を決めて行うものではなく、ダムの貯水量が回復したと判断された時点で、渇水調整会議が緩和や解除を決めます。過去の高梁川の例では、解除のタイミングは次のようでした。
- 2005年7月梅雨前線の雨で流域平均162mmが降り、高梁川の主要5ダムの貯水量が約3,510万トン増えて71%まで回復。取水制限は全面解除されました(記者発表)。
- 2008年1月1月13日に貯水率が60%を超えて一時解除し、「主要6ダムの合計貯水量が70%に達し、少雨の状況が緩和する傾向にある」として1月25日に全面解除(記者発表)。
- 2024年2月6ダムの貯水率が81.9%まで戻り、すべてのダムの貯水量が安定したとして2月28日に全面解除(会議資料)。
2008年の「70%」を目安にすると、今の6ダムの貯水量(3,134.9万m³)からおよそ4,324万m³の上積みが必要です。2005年に大雨1回で増えた量(約3,510万トン)より多く、まとまった雨が1回降っただけでは解除まで戻らない可能性が高い計算です。
雨が降らなければ、12月26日ごろに貯水率0%(推定)
岡山河川事務所の試算では、今後まとまった雨が降らない場合、主要6ダムの貯水率が0%になるのは、取水制限をしなかったときで9月30日から11日後、第2次取水制限のままなら12月1日ごろ、第3次取水制限を続けて12月26日ごろと推定されています。また、無降雨が続くと約40日後に「危機的渇水期」の目安とされる貯水率10%程度まで下がるおそれがあるとしています。
気象庁が10月1日に出した中国地方の1か月予報(10月3日〜11月2日)では、降水量は「平年並」または「少ない」がそれぞれ40%、「多い」は20%です。日照時間は「多い」確率60%で、晴れの日が多い見込みです。今のところ、近いうちに大きく回復しそうな予報は出ていません。
出典:高梁川水系水利用協議会(10月1日)の参考資料「高梁川水系の主要ダム貯水量予測」、気象庁 季節予報(中国地方 1か月予報、10月1日発表)。必要量は筆者計算(6ダムの洪水期利水容量106,563千m³の70%と、10月2日の貯水量の差)。
断水の可能性は?家庭の水道への影響
「水道用水10%カット」と聞くと、家の水が1割減るように感じますが、これは水道事業者が川から取る量の制限です。2026年10月3日時点で、高梁川水系で断水や給水制限は行われていません。9月16日の渇水調整会議でも、協議会は「市民生活・産業・農業に(現状)影響はないと考えているが、節水に対しての理解・協力はお願いしたい」としています(KSB)。
ただし、9月18日のKSBの報道によると、岡山河川事務所は貯水率が下がり続ければ、水圧を下げて水を出にくくする「減圧給水」や、時間を区切った「時間断水」を検討する可能性があるとしています(KSB)。高梁川水系水利用協議会には、倉敷市水道局、岡山県南部水道企業団、備南水道企業団、岡山県西南水道企業団、岡山県広域水道企業団の水道事業者が参加しています。
家庭でできる節水(岡山県の呼びかけ)
- 蛇口をこまめに閉めて、水の流しっぱなしをやめる
- 洗濯の回数を減らし、まとめて洗う
- お風呂の残り湯を再利用する
10月から一番多く水を使うのは「工業用水」
今回の第3次で工業用水のカット率が上がった理由も、会議資料から読み取れます。10月以降は稲作が終わって農業用水の使用量が大きく減り、高梁川の水の使い道で最も多いのが工業用水になります。
高梁川水系水利用協議会には、(株)クラレ倉敷事業所やアサヒ飲料(株)岡山工場といった企業も名を連ねています。渇水が長引けば、暮らしだけでなく地域の産業への影響も心配されます。
出典:高梁川水系水利用協議会(10月1日)の参考資料「高梁川水系 水利用の割合(実績値)」の10月以降の値、同(9月29日)の協議会構成機関。割合は筆者計算。
過去の渇水と比較|農業用水50%カットは1994年以来
| 渇水の年 | 時期 | 制限の日数 | 最大の制限率 |
|---|---|---|---|
| 1994年(平成6年) | 7月〜12月 | 139日 | 上水50%・工水70%・農水90% |
| 2002年(平成14年) | 9月〜12月 | 102日 | 上水10%・工水20%・農水30% |
| 2005年(平成17年) | 7月 | 2日 | 上水10%・工水10%・農水30% |
| 2007〜08年(平成19〜20年) | 12月〜1月 | 20日 | 上水5%・工水5%・農水10% |
| 2008年(平成20年) | 8月〜10月 | 52日 | 上水5%・工水10%・農水20% |
| 2023〜24年(令和5〜6年) | 11月14日〜2月28日 | 約106日 | 上水2%・工水5%・農水20% |
| 2026年(令和8年) | 9月7日〜(継続中) | 26日(10/3時点) | 上水10%・工水15%・農水50% |
過去の高梁川の渇水と比べると、2026年の農業用水50%は、1994年(平成6年、最大90%)以来の高い制限率です。2002年(平成14年)は102日続きましたが、農業用水は最大30%でした。岡山河川事務所も、9月29日の貯水率26.4%を「平成6年渇水に次ぎ深刻であった平成14年渇水と同様な状況」としています。
いちばん深刻だった1994年は、水道用水も最大50%がカットされ、取水制限は139日間続きました。高梁川の支流・小田川では川の水が途切れる「瀬切れ」が起き、ダムでは湖底に残った「死水」まで放流する事態になっています。2026年はまだ水道用水10%の段階ですが、制限が始まった時期が9月と早く、岡山河川事務所の資料でも「秋冬の渇水は長期化する傾向がある」とされています。
出典:国土交通省「日本の川 高梁川 過去の主な渇水」、岡山県河川課、高梁川水系水利用協議会 会議資料(2024年2月)。2023〜24年の日数は開始日と全面解除日から筆者計算、2026年は10月3日までの日数。年によって制限率の基準(許可取水量・実績取水量)が異なります。
なぜ渇水に?市街地は大雨でも上流は少雨
9月の岡山市は雨が平年の約1.8倍も降ったのに、なぜダムの水が足りないのでしょうか。気象庁のデータで7〜9月の降水量を比べると、高梁川上流の新見は平年の45%、中流の高梁は53%しか降っていませんでした(岡山市は97%)。ダムのある山あいで夏の雨が極端に少なく、9月の雨も南の市街地に偏ったことが、今回の渇水の背景にあります。
出典:気象庁「過去の気象データ」(新見・高梁・岡山の2026年7〜9月の月別値と平年値)。
旭川の取水制限は?貯水率は平年並みに回復
旭川水系では、9月9日から第1次取水制限(水道用水10%・工業用水10%・農業用水30%)が続いています。ただし、主要2ダム(旭川ダム・湯原ダム)の貯水率は10月2日時点で69.2%と、平年の69.9%とほぼ同じ水準まで戻りました。旭川ダムは91.8%、湯原ダムは60.2%です。
旭川水系では2022年にも取水制限があり、主要2ダムの貯水量が平年並みに回復した9月30日に全面解除されました。今回も解除の判断は旭川水系水利用協議会の渇水調整会議で行われます。
出典:岡山河川事務所「三水系の主要ダムの貯水状況」(10月2日9時)、岡山河川事務所「岡山三川主要ダムの貯水状況」過去のトピックス。
最新の貯水率を確認する方法
- 岡山河川事務所「岡山三川主要ダムの貯水状況」:毎日9時時点の貯水率の表と、過去の渇水年と比べたグラフ
- 岡山県「高梁川水系及び旭川水系の渇水情報」:取水制限の段階とダム湖の写真
よくある質問
Q. 高梁川の取水制限はいつまで続きますか?
A. 終わりの日は決まっていません。主要6ダムの貯水量が回復した時点で、高梁川水系水利用協議会の渇水調整会議が緩和や解除を決めます。過去には、2008年1月に貯水率が70%を超えて全面解除、2024年2月は81.9%まで戻ってから全面解除されました。2026年10月2日時点の貯水率は29.4%で、70%に戻すにはおよそ4,300万m³の水が足りない計算です。
Q. 取水制限で家の水道は止まりますか?断水になりますか?
A. 2026年10月3日時点では、断水や給水制限は行われていません。水道用水の10%カットは水道事業者が川から取る量の制限で、高梁川水系水利用協議会は「市民生活に現状影響はない」としています。ただし、貯水率がさらに下がれば、水圧を下げる「減圧給水」や時間を区切った断水を検討する可能性があるとされています。
Q. 雨が降らなかったら、ダムはいつ空になりますか?
A. 岡山河川事務所の試算では、今後まとまった雨がなく第3次取水制限を続けた場合、主要6ダムの貯水率は12月26日ごろに0%になると推定されています。また10月1日の発表では、無降雨が続くと約40日後に「危機的渇水期」の目安とされる10%程度まで下がるおそれがあるとしています。
Q. 旭川の取水制限はどうなっていますか?
A. 旭川水系では9月9日から第1次取水制限(水道用水10%・工業用水10%・農業用水30%)が続いています。ただ、主要2ダム(旭川ダム・湯原ダム)の貯水率は10月2日時点で69.2%と、平年(69.9%)並みまで回復しています。2022年には、貯水量が平年並みに戻った時点で全面解除された例があります。
Q. 今回の渇水は過去と比べてどのくらい深刻ですか?
A. 岡山河川事務所は、9月29日の貯水率26.4%を「平成6年渇水に次ぎ深刻であった平成14年渇水と同様な状況」としています。農業用水の50%カットは、1994年(最大90%)以来の高い制限率です。ただし、1994年は水道用水も最大50%カットされ、139日間も続いたので、今のところそこまでには至っていません。
まとめ|高梁川の取水制限はまとまった雨がカギ
- 高梁川水系は10月2日から第3次取水制限(水道10%・工業15%・農業50%)。主要6ダムの貯水率は29.4%(平年77.6%)
- 最大の新成羽川ダムが18.9%まで減っていることが、全体の数字を押し下げている
- 過去の全面解除は貯水率70〜80%台への回復後。70%まで戻すには約4,324万m³が必要で、1回の大雨では足りない可能性が高い
- 雨が降らなければ、約40日後に危機的渇水期の目安10%、12月26日ごろに0%(河川事務所の推定)
- 家庭の断水は今のところなし。ただし減圧給水や時間断水が検討される可能性もあるので、今から節水を
- 旭川水系は貯水率69.2%と平年並みに回復。解除は渇水調整会議の判断待ち
参考・出典:高梁川水系水利用協議会 記者発表(2026年10月1日)/同(9月29日)/旭川水系水利用協議会 記者発表(9月8日)/岡山河川事務所 三水系の主要ダムの貯水状況/岡山県河川課 渇水情報/国土交通省「日本の川 高梁川」/岡山河川事務所 記者発表(2005年7月4日)/同(2008年1月25日)/高梁川水系水利用協議会 会議資料(2024年2月28日)/気象庁 1か月予報/KSB(9月16日)/KSB(9月18日)。2026年10月3日に確認した情報です。割合・必要量・日数は筆者の計算です。

コメント