岡山のハザードマップの見方|色の意味と県・市・国の地図の使い分け

岡山のハザードマップの見方|浸水深の色と県・市・国の地図の使い分けを示した図解

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岡山の暮らしと防災

岡山のハザードマップの見方|色の意味と県・市・国の3つの地図の使い分け

2018年の西日本豪雨で、倉敷市真備町の浸水範囲は事前のハザードマップとほぼ一致していました。それでも多くの人が逃げ遅れたのは、地図が「なかった」からではなく「読まれていなかった」からです。この記事では、岡山県防災マップ・市町村のハザードマップ・国の重ねるハザードマップという3つの地図をどう使い分け、浸水深の色や土砂災害の区域をどう読み、避難のタイミングにどうつなげるかを、公的な情報だけで整理しました。

  • 地図は 県・市町村・国の3階層
  • 洪水は 2つの規模で描かれる
  • 土砂の警戒区域 約1.3万か所
  • 2026年9月時点の情報
目次

まず結論。真備の教訓は「地図は正しかった。読まれていなかった」

ハザードマップの話をするとき、岡山県民が最初に思い出すべき数字が3つあります。

概ね一致真備町の実際の浸水範囲と、事前のハザードマップの浸水想定区域
75%ハザードマップの「存在を知っていた」真備町の被災者
24%ハザードマップの「内容を理解していた」被災者

2018年7月の西日本豪雨で、倉敷市真備町では小田川とその支流の堤防が決壊し、町の約4分の1にあたる約1,200ヘクタールが浸水しました。最大浸水深は5メートルを超え、51人が亡くなっています。内閣府のワーキンググループ資料は、この浸水範囲が倉敷市が2016年に作成し2017年に更新していた洪水ハザードマップの浸水想定区域と概ね一致していたと整理しています。

一方で、被災後に真備町で行われた100人への面談調査(兵庫県立大学・岡山大学・東京大学の研究者と山陽新聞社が実施)では、ハザードマップの存在を知っていた人は75%いたのに、内容まで理解していた人は24%にとどまりました。半数の51%は「見たことはある」で止まっていたのです。同じ資料は、真備町で亡くなった方のほとんどが、流されていない家の屋内で遭難した可能性が高いとも指摘しています。

「見たことがある」と「読める」はまったく別物

自宅の色が何メートルの浸水を意味するのか、2階に逃げれば足りるのか、どの道で避難所へ行くのか。ここまで答えられて初めて「ハザードマップを理解した」といえます。この記事はその読み方を、岡山の地図に即して順番に説明します。

3 MAPS岡山のハザードマップは「県・市町村・国」の3階層でできている

「岡山 ハザードマップ」で検索すると、県のサイト、市のサイト、国土交通省のサイトがそれぞれ出てきて、どれを見ればいいのか迷います。役割の違いを先に押さえましょう。

地図 作っている人 載っているもの 向いている使い方
岡山県防災マップ
県の統合型GIS
岡山県 洪水浸水想定区域・土砂災害警戒区域等・高潮浸水想定区域・重要水防箇所・震度分布・液状化危険度・津波浸水想定。郵便番号や住所で検索できる 「うちの土地の危険度」を災害の種類ごとに正確に知る
市町村のハザードマップ
避難所つき
岡山市・倉敷市など各市町村 県や国の想定区域に、避難所・避難経路・避難情報の出し方を重ねたもの。冊子(PDF)とWEB版がある 「どこへ、どの道で逃げるか」を決める
重ねるハザードマップ
国交省
国土交通省 全国の洪水・内水・土砂災害・高潮・津波のリスクを1枚の地図に重ねて表示。現在地表示や住所検索ができる。「わがまちハザードマップ」は市町村の地図へのリンク集 県外の実家や旅行先、通勤先の危険度を同じ操作で調べる

ポイントは、浸水や土砂災害の「想定区域」を決めているのは河川管理者(国・県)と県で、それに避難所を重ねて「ハザードマップ」に仕上げているのは市町村だという分担です。岡山県の危機管理課のページにも「ハザードマップは各市町村で作成しています」と明記されています。だから危険度そのものは県の地図で、避難行動は市町村の地図で確認する、と覚えておくと迷いません。

岡山市に住んでいるなら「WEB版ハザードマップ」が起点

岡山市は洪水・土砂、高潮、地震、津波の4種類を1つの画面で切り替えられるWEB版ハザードマップを公開しています。スマートフォンの位置情報で現在地周辺の危険度を表示でき、災害時には避難所の開設状況とそこまでのルート、画面上段のテロップで避難情報の発令状況まで確認できます。日本語のほか英語・韓国語・中国語(簡体字・繁体字)にも対応しています。

冊子版(PDF)は全19冊が地域別に用意されていますが、冊子の洪水図は「計画規模」で作られていて、より大きい「想定最大規模」の洪水はWEB版でしか見られません。この違いは次の章で説明します。

HOW TO READ5ステップで読む。自宅の色から避難先まで

ここからが本題です。岡山県防災マップでも岡山市のWEB版でも、読む順番は同じです。

  1. 自宅・職場・学校の3か所を住所で検索する郵便番号か住所を入れて、まず自宅にピンを立てます。次に職場や学校、高齢の家族の家も同じように調べます。真備町の調査では、洪水の可能性がある低地に住む人の7割が自分の土地の危険性を楽観視していました。「うちは大丈夫」という感覚は、地図で上書きするしかありません。
  2. 災害の種類を切り替えて、それぞれの色を見る洪水・土砂災害・高潮・津波は別々の地図です。洪水で白くても高潮で青いことは、岡山市南区や倉敷市の沿岸部では珍しくありません。4種類すべてを一度ずつ切り替えて、色がついた災害をメモしてください。
  3. 洪水は「計画規模」と「想定最大規模」の2枚を見る岡山市の洪水ハザードマップは、100〜150年に1回程度の雨を想定した「計画規模」と、1,000年に1回程度の雨を想定した「想定最大規模」の2種類があります。冊子は計画規模、WEB版は想定最大規模も表示できます。倉敷市も同様に、L1(計画規模)とL2(想定最大規模)の2段階で公開し、不動産の重要事項説明にはL2を使うよう案内しています。避難の計画は大きいほう(想定最大規模)で立てるのが原則です。
  4. 浸水深の色を「何階まで水が来るか」に読み替える色の濃さは浸水の深さです。下の図のように、0.5メートルで床上、3メートルで2階の床、5メートルで2階の屋根まで届きます。自宅の色が3メートル以上なら「2階に逃げる(垂直避難)」では足りない可能性があり、早めに区域の外へ出る「立ち退き避難」が必要です。真備町では5メートル超の浸水が想定され、実際にそのとおりになりました。
  5. 避難所と、そこまでの道が「色の外」を通るか確かめる市町村の地図には避難所の記号があります。自宅から避難所までの道が浸水想定区域や土砂災害警戒区域を横切っていないか、川や用水路の橋を渡らないかを指でなぞってください。夜間や豪雨の中では、その道が通れないことがあります。通れない前提で「第2候補」まで決めておくのがコツです。

浸水深の色は、こう読み替える

0.5m未満床下浸水。大人の膝下だが、流れがあると歩けない
0.5〜3m床上浸水〜1階の天井。2階へ上がる垂直避難の目安
3〜5m2階の床〜2階の軒下。2階でも危険。早めの立ち退き避難
5m以上2階の屋根が水没。区域の外へ出るしかない

浸水深の区分と建物との対応は、国土交通省の洪水浸水想定区域図の一般的な凡例をもとにした目安です。地図によって区分の境目が異なる場合があります。

「家屋倒壊等氾濫想定区域」の斜線に注意

想定最大規模の洪水図には、浸水深とは別に、川の近くで流れが速く家そのものが壊れるおそれのある「家屋倒壊等氾濫想定区域」が斜線などで示されています。ここに入っていると、浸水深が浅く見えても垂直避難は選べません。凡例で必ず確認してください。

OKAYAMA RISKS岡山で見るべき5つの危険と、地図での確認先

「晴れの国」の岡山は災害が少ないと言われますが、県南の低地に人口が集中し、三大河川が瀬戸内海に注ぐ地形は、水に対しては弱い面があります。地図で見るべき順に整理します。

危険 岡山の想定(公的な数字) 見る地図
洪水
最優先
旭川・吉井川・高梁川の三大河川に加え、百間川・砂川・笹ヶ瀬川・足守川・倉敷川など多数の河川で浸水想定区域が公表済み。計画規模(100〜150年に1回)と想定最大規模(1,000年に1回)の2段階 県防災マップ「洪水浸水想定区域」、市町村の洪水ハザードマップ
土砂災害 県内の土砂災害警戒区域は約1.3万か所。さらに県は2026年5月20日、まだ区域指定されていない「土砂災害が発生するおそれのある箇所」19,662か所を新たに公表 県防災マップ「土砂災害警戒区域等」、県防災砂防課の市町村別PDF
高潮 岡山県が2022年1月に公表した想定最大規模(中心気圧910ヘクトパスカル級の台風)では、最高潮位は倉敷市沿岸でT.P.+6.4メートル、浸水面積は約407平方キロメートル。岡山市では北区岡南、中区操明、東区・南区の沿岸各地域が対象 県防災マップ「高潮浸水想定区域」、岡山市・倉敷市の高潮ハザードマップ
津波 南海トラフ巨大地震で、第一波は地震発生から約2時間50分で岡山市沿岸に到達、最大津波高は約2.6メートル(南区)。堤防や水門が地震で機能を失う前提で浸水想定が描かれている 県防災マップ「津波浸水想定」、岡山市津波ハザードマップ
地震・液状化 岡山県が2025年度に13年ぶりに見直した被害想定では、最大震度は岡山市南区と倉敷市で6強、最悪の場合の死者は3,778人、全壊・焼失は21,742棟 県防災マップ「震度分布図」「液状化危険度分布図」、岡山市地震防災マップ

見落としやすい「内水」と「ため池」

洪水ハザードマップが白くても安心できない場所が2つあります。ひとつは内水氾濫。川があふれるのではなく、下水道や水路が雨を流しきれずに道路や家が浸かる現象で、岡山市は2020年6月に小学校区グループごとの「浸水(内水)ハザードマップ」を別に公開しています。市街地の浸水被害の多くは、実はこちらです。

もうひとつは農業用ため池です。雨の少ない岡山は全国有数のため池県で、決壊すると下流の住宅地が短時間で浸水します。岡山県は「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」に基づくデータベースを2026年4月1日時点で更新し、所在地は県の統合型GISの「ため池マップ」で確認できます。岡山市内だけで農業用ため池は1,418か所あり、うち約900か所が決壊時に人的被害のおそれがある「防災重点農業用ため池」に指定されています(2026年4月末時点・岡山市)。岡山市はその防災重点ため池ごとの「ため池浸水想定マップ」を公開しており、2021〜2022年度には親子のため池が連鎖して決壊するケースまで計算し直しました。

PITFALLSハザードマップの5つの落とし穴

読み方を知っていても、思い込みで判断を誤ることがあります。真備町の調査結果を踏まえて、岡山で特に起きやすい誤解を挙げます。

  • 白い=安全、ではない。洪水図が白くても、内水・ため池・高潮・土砂の別の地図で色がつくことがあります。また想定を超える雨が降れば白い場所も浸かります。「白は想定外の場所」と読んでください。
  • 冊子の洪水図は「小さいほう」の想定である。岡山市の冊子は計画規模で作られています。想定最大規模はWEB版でしか見られないので、冊子だけで避難計画を立てると想定が甘くなります。
  • 土砂災害の色は「まだ全部ついていない」。約1.3万か所の警戒区域とは別に、19,662か所の「おそれのある箇所」が2026年に公表されました。これらは今後の基礎調査で指定される可能性がある場所です。近くに30度以上・高さ5メートル以上の崖があれば、区域指定を待たずに警戒してください。
  • 津波図は「堤防がすべて壊れた」前提で描かれている。岡山市の津波ハザードマップは、防潮堤や水門の機能が地震で失われた条件で計算しています。到達まで約2時間50分あるからと油断せず、揺れたら沿岸から離れる、が原則です。
  • ハザードマップは「今の状況」を教えてくれない。地図は平時の想定であり、今どこの避難所が開いているか、今川がどこまで増えているかは載っていません。それを補うのが次の章の「おかやま防災ポータル」と警戒レベルです。

ALERT LEVEL地図を「いつ動くか」につなげる警戒レベルの読み方

ハザードマップで「どこが危ないか」を知ったら、次は「いつ逃げるか」です。避難情報は5段階の警戒レベルで整理され、2021年には「避難勧告」が廃止されて「避難指示」に一本化されました。

  • レベル1早期注意情報(気象庁)最新の気象情報に注意し、心構えを高める
  • レベル2大雨・洪水注意報(気象庁)ハザードマップで避難場所と経路を確認する。この記事の作業はここまでに終えておく
  • レベル3高齢者等避難(市町村)高齢者・障害のある人・乳幼児連れは避難を始める。それ以外の人も準備を整える。キキクルは赤
  • レベル4避難指示(市町村)危険な場所にいる人は全員避難する。指示が出る前でも、キキクルが紫なら自分の判断で動く
  • レベル5緊急安全確保(市町村)すでに災害が起きているか切迫している。避難所へ向かうのはかえって危険で、その場で少しでも安全な場所(2階・崖と反対側の部屋)へ。キキクルは黒

レベル4までに「色の外」へ出るのが基本

真備町では2018年7月6日22時に真備地区全域へ避難勧告(当時)が出ましたが、決壊は翌7日未明で、多くの方が自宅1階で亡くなりました。夜間の避難は危険が増します。ハザードマップで自宅が3メートル以上の色なら、レベル3の段階で明るいうちに動く、と家族で決めておいてください。

岡山の「今」を知る3つの窓口

おかやま防災ポータルは、気象情報のほか雨量・河川水位・潮位・ダムの状況・避難所の開設状況まで1か所で確認できる県の総合サイトです。おかやま防災情報メールに登録すると、県内の避難情報・特別警報・警報・地震津波情報・土砂災害警戒情報が届きます。スマートフォンなら、県がLINEヤフーと協定を結んで連携しているYahoo!防災速報アプリで同じ情報を受け取れます。あわせて気象庁のキキクル(危険度分布)を開いておくと、警戒レベル3〜5に相当する色が地図上でわかります。

CHECKLIST今日15分でできる「わが家のハザードマップ」チェック

読み終えたら、この順番で一度だけ手を動かしてください。真備町で「内容を理解していた」24%に入るための最短コースです。

  • 自宅の洪水浸水深(想定最大規模)を書き出す。例「3〜5m」。冊子ではなくWEB版で確認。
  • 家屋倒壊等氾濫想定区域に入っていないか確かめる。入っていれば垂直避難は不可。
  • 土砂災害警戒区域(黄)・特別警戒区域(赤)との距離を見る。県の「おそれのある箇所」も確認。
  • 高潮・津波・内水・ため池の4枚を一度ずつ切り替える。沿岸部と用水路沿いは特に。
  • 避難所を2か所決め、経路が色の外を通るか指でなぞる。橋と地下道を避ける。
  • 「レベル3で動く」か「レベル4で動く」かを家族で決める。浸水深3m以上・高齢者同居ならレベル3。
  • おかやま防災情報メールかYahoo!防災速報を登録する。市町村の設定を自宅と実家の両方に。
  • 結果を冷蔵庫に貼る。紙1枚に「浸水深・避難所2つ・動くレベル」を書くだけで十分です。

FAQ岡山のハザードマップに関するよくある質問

Q. 岡山県のハザードマップはどこで見られますか?

A. 災害の種類ごとの危険度は岡山県防災マップ(県の統合型GIS)で、避難所や避難経路を含む地図は各市町村のハザードマップで確認します。岡山市はWEB版ハザードマップで洪水・土砂、高潮、地震、津波を切り替えて見られます。県外の場所を同じ操作で調べたいときは国土交通省の重ねるハザードマップが便利です。

Q. ハザードマップの色は何を表していますか?

A. 洪水・高潮・津波の地図では色の濃さが浸水の深さです。目安として0.5メートル未満は床下、0.5〜3メートルは床上から1階天井、3〜5メートルは2階の床から軒下、5メートル以上は2階の屋根まで水没します。土砂災害の地図では黄色が警戒区域、赤が特別警戒区域です。凡例は地図ごとに少し違うので必ず確認してください。

Q. 「計画規模」と「想定最大規模」はどう違いますか?

A. 計画規模は100〜150年に1回程度の雨、想定最大規模は1,000年に1回程度の雨を想定した浸水図です。岡山市の冊子版は計画規模で作られ、想定最大規模はWEB版で確認できます。避難計画は大きいほうの想定最大規模で立てるのが原則で、倉敷市は不動産の重要事項説明にも想定最大規模(L2)を使うよう案内しています。

Q. 岡山に津波は来ますか?

A. 南海トラフ巨大地震の想定では、第一波が地震発生から約2時間50分で岡山市沿岸に到達し、最大津波高は南区で約2.6メートルとされています。高さは太平洋側より低いものの、岡山市の津波ハザードマップは防潮堤や水門が地震で機能を失う前提で浸水想定を描いており、沿岸の低地では浸水が想定されています。

Q. 自宅が浸水想定区域に入っていなければ安全ですか?

A. 安全とは言い切れません。洪水の地図が白くても、内水氾濫・ため池・高潮・土砂災害の別の地図で色がつくことがあり、想定を超える雨が降れば白い場所も浸かります。岡山市は内水ハザードマップとため池浸水想定マップを洪水図とは別に公開しているので、4種類以上の地図を一度ずつ切り替えて確認してください。

Q. 真備町の水害はハザードマップで予測されていたのですか?

A. はい。内閣府の資料は、2018年7月の真備町の浸水範囲が倉敷市の洪水ハザードマップの浸水想定区域と概ね一致していたと整理しています。ただし被災者100人への調査では、地図の存在を知っていた人が75%だったのに対し、内容を理解していた人は24%でした。地図の精度ではなく、読まれていたかどうかが被害を分けました。

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