岡山の路面電車の乗り方ガイド|160円均一と一日乗車券の損得

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2026年9月更新岡山駅前から2方向に延びる路面電車(おかでん)は、明治45年から走り続けている岡山の街の足です。観光で来た方からは「どこで乗るの?」「いくら?」「整理券は?」とよく聞かれますし、地元の人でも2025年10月の運賃改定で全線160円均一になったことは意外と知られていません。

この記事では、岡山在住の筆者が運賃・乗り方・ICカード・一日乗車券の損得・目的地別のルート・始発と終電を、岡山電気軌道と岡山市の公式情報をもとに1本にまとめました。さらに、公式の時刻表PDFと電停の位置データから「どの電停までなら歩いたほうが早いか」「1日に何本走っているか」を自前で集計しています。初めて乗る方は上から順に、運賃だけ知りたい方は次の章からどうぞ。

160円全線均一の大人運賃。2025年10月1日に140円から改定(小児80円)
3回一日乗車券400円の損益分岐。2回では元が取れない
216本平日に岡山駅前を出る電車の本数(東山行き146+清輝橋行き70・筆者集計)
2027年春岡山駅前広場への乗り入れ開始予定。事業費121.9億円
目次

岡山の路面電車は2路線だけ|東山線と清輝橋線

岡山の路面電車は岡山電気軌道が運行していて、路線は東山線(正式名称は東山本線)と清輝橋線の2つだけです。どちらも起点は岡山駅前で、3つ目の柳川電停で枝分かれします。東山線はそのまま北東へ進んで城下・県庁通りを通り、旭川を渡って東山へ。清輝橋線は柳川から南へ下り、天満屋の最寄りである郵便局前を通って岡山大学病院のある清輝橋へ向かいます。

つまり迷う要素はほとんどありません。岡山駅前の電停で「東山行き」か「清輝橋行き」かだけを確認すれば、あとは行き先の電停で降りるだけです。

2路線の基本データ(営業キロ・停留場数はWikipedia、所要時間と本数は公式時刻表から筆者集計)
項目 東山線 清輝橋線
区間 岡山駅前〜東山・おかでんミュージアム駅 岡山駅前〜(柳川)〜清輝橋
営業キロ 3.1km 柳川から1.6km
停留場数 11(臨時の京橋を含む) 7(柳川を含む)
全区間の所要 約15分 約12分
日中の間隔 約6分(1時間に10本) 約12分(1時間に5本)
平日の運行本数 岡山駅前発146本 岡山駅前発70本

東山線は6分に1本の頻度で走っているので、時刻表を調べずに電停へ行って問題ありません。一方の清輝橋線は12分に1本なので、乗り遅れると少し待ちます。

運賃は2025年10月から全線160円均一|バス5社も同時に改定

岡山電気軌道は2025年8月29日に中国運輸局から運賃改定の認可を受け、2025年10月1日から普通運賃を全線均一の大人160円・小児80円にしました。それまでは岡山駅前〜県庁通りなどの短い区間が120円、それ以外が140円という2段階でしたが、いまはどこまで乗っても160円です。

路面電車の運賃(2025年10月1日改定)
区分 改定前 改定後
大人(中学生以上) 120円/140円 160円全線均一
小児(小学生) 60円/70円 80円全線均一
一日乗車券 大人400円 大人400円(据え置き)

同じ2025年10月1日に、岡山市中心部を走るバス5社(両備バス・岡電バス・下電バス・中鉄バス・備北バス)も最低運賃を160円に統一しました。岡山駅から天満屋バスセンターまでが120円から160円になったのはこのためです。背景にあるのは、独占禁止法の特例法にもとづく5社の共同経営計画で、国の認可を受けて運賃や路線を各社そろえて決められるようになりました。宇野バスはこの計画に参加していません。

要するに:岡山の街なかは「電車でもバスでも160円」で移動できます。どちらが早いかだけで選べばよく、運賃で悩む必要はほぼありません。

知らないと損する「柳川乗り継ぎ無料」の落とし穴

運賃改定と同時に、東山線と清輝橋線を柳川電停で乗り継ぐときは追加運賃がかからない乗換制が導入されました。現金なら降車時に運賃を払って乗務員に「乗継券」をもらい、乗り継ぎ先で降りるときに運賃箱へ入れるだけ。ICカードなら通常どおりタッチすれば自動で適用されます。

ただし、公式サイトには重要な除外条件が書かれています。

乗継扱いにならないケース

岡山駅前・西川緑道公園・柳川のいずれかが乗車電停または降車電停になる場合

・同じ路線内での往復利用

岡山駅前から乗る観光客の移動は、ほぼすべてこの除外条件に当てはまります。「岡山駅前から乗って柳川で乗り換える」は無料乗り継ぎの対象外で、乗り継いだ先でもう一度160円が必要です。無料になるのは、たとえば城下から柳川を経由して清輝橋へ向かうような、岡山駅前を絡めない移動に限られます。

後述する「路面電車直通運賃」(バスとの乗り継ぎ割引)を使うときも、柳川の無料乗り継ぎは併用できません。

乗り方は「後ろ乗り・前降り・降りるときに払う」

岡山の路面電車は後ろの扉から乗って、前の扉から降りる方式です。運賃は降りるときに払います。バスでおなじみの整理券は出てきません。均一運賃なので、どこから乗ったかを証明する必要がないからです。

  • 1電停で「東山行き」か「清輝橋行き」かを確認して待つ(電停は道路の中央にあります)
  • 2後ろの扉から乗車。現金の人はそのまま乗るだけ、ICカードの人は乗車口のリーダーにタッチ
  • 3降りる電停が近づいたら降車ボタンを押す
  • 4前の扉で、現金なら運賃箱に160円、ICカードなら運賃箱のリーダーにタッチ

おつりは出ません。運賃箱に両替機が付いているので、1,000円札や500円玉しかない場合は先に両替してから入れます。混雑時にあわてないよう、乗る前に小銭を用意しておくと安心です。

なお始発の電停(岡山駅前・東山・清輝橋)だけは、すべての扉から乗車できます。

岡山駅前電停は「1つのホームに2路線」が並ぶ

岡山駅前電停は、駅前広場への乗り入れ工事のために2025年7月22日から乗車ホームが廃止され、降車ホームを乗降共用にして運用されています。ホームが1つしかないため、東山行きと清輝橋行きが同じホームに並んで停まります。

並ぶ位置が決まっています。公式の案内では清輝橋線はホームの手前側、東山線はホームの奥側で乗車します。後楽園や岡山城へ行く方は東山線なので、奥まで進んで待ちましょう。

JR岡山駅からは、中央改札を出て東口(後楽園口)へ進み、横断歩道を渡った先の道路の中央が電停です。地下街(岡山一番街)経由でも行けます。駅からは徒歩3分ほどですが、2027年春の乗り入れ後はこの移動がなくなる予定です。

ICカードはどれでも使えるが、得をするのは「ハレカ」だけ

路面電車ではICOCA・Suica・PASMOなど全国相互利用の交通系ICカードがそのまま使えます。ただし、地元のハレカを持っているかどうかで、使える制度に差が出ます。ここは観光客より、むしろ岡山で暮らす人に関わる話です。

ICカードの種類でできること・できないこと
できること ハレカ ICOCA・Suica等
電車・バスの運賃支払い
車内でのチャージ 不可残高不足は現金精算
路面電車直通運賃(バスとの乗継割引) 対象外
ハレカハーフ(岡山市民65歳以上等は半額) 対象外

路面電車直通運賃は、岡電バスまたは両備バスと路面電車を指定の電停で乗り継いだとき、全区間をバスに乗ったものとして運賃を計算する制度です。公式サイトの例では、新岡山港から岡山駅前まで国清寺前(門田屋敷)で乗り継ぐ場合、通常560円のところ500円になります。適用されるのは城下・門田屋敷・東山・小橋・清輝橋の各電停と、対応するバス停の組み合わせで、乗り換えた日のうち(24時まで)が有効です。

旅行で1〜2回乗るだけなら、手持ちのICOCAやSuicaで何の問題もありません。ハレカをわざわざ買う必要があるのは、バスと電車を日常的に乗り継ぐ人です。

一日乗車券は「3回乗れば得」|400円の損益分岐を計算する

路面電車の一日乗車券は大人400円・小人200円で、東山線と清輝橋線の全線が1日乗り放題です。160円均一になったいま、損益分岐はシンプルに計算できます。

一日乗車券400円と、都度払い160円の比較(筆者計算)
乗車回数 都度払い 一日乗車券 差額
2回 320円 400円 80円の損
3回 480円 400円 80円の得
4回 640円 400円 240円の得
5回 800円 400円 400円の得

400円÷160円=2.5なので、3回乗った時点で元が取れます。岡山駅前から往復するだけ(2回)なら都度払いのほうが安く、途中で城下と東山に寄るような回り方なら一日乗車券が有利です。券面の銀色部分をコインで削って使うタイプで、複数箇所を削ると無効になる点にはご注意ください。提示すると入場料などが割引になる施設もあります。

販売場所は路面電車の車内・岡山駅東口公共交通案内所(8時〜19時)・電車事業部運輸課(東山電停前)・岡電観光です。スマホアプリのRYDE PASSでもデジタル版が買えます。

実は歩いたほうが早い区間がある|電停ごとの距離を測ってみた

160円均一は遠くまで乗るほどお得ですが、逆に言えば2つ隣の電停まででも160円です。そこで、OpenStreetMapの電停座標から岡山駅前電停との直線距離を計算し、実際の道のりを直線の1.25倍、歩く速度を分速80mとして徒歩の目安時間を筆者が試算しました。

岡山駅前電停からの距離と徒歩の目安(直線距離から筆者試算。実際の道順で多少前後します)
電停 路線 直線距離 徒歩の目安 判定
西川緑道公園 共通 約290m 約4分 歩くのが早い
柳川 共通 約530m 約8分 歩ける
郵便局前(天満屋) 清輝橋線 約650m 約10分 どちらでも
田町 清輝橋線 約780m 約12分 どちらでも
城下(岡山城・後楽園) 東山線 約900m 約14分 乗るのが楽
新西大寺町筋 清輝橋線 約960m 約15分 乗るのが楽
県庁通り(天満屋) 東山線 約1,020m 約16分 乗るのが楽
大雲寺前 清輝橋線 約1,140m 約18分 乗るのが楽
西大寺町・ハレノワ前 東山線 約1,230m 約19分 乗るのが楽
東中央町 清輝橋線 約1,340m 約21分 乗る
清輝橋(岡大病院) 清輝橋線 約1,620m 約25分 乗る
小橋 東山線 約1,730m 約27分 乗る
中納言 東山線 約1,850m 約29分 乗る
門田屋敷 東山線 約2,020m 約32分 乗る
東山・おかでんミュージアム駅 東山線 約2,320m 約36分 乗る

結果はわりとはっきりしていて、最初の2つ、西川緑道公園(徒歩4分)と柳川(徒歩8分)は歩いたほうが確実です。電停で待つ時間を含めると、電車に乗っても到着時刻はほとんど変わりません。一方、城下より先は乗ったほうが圧倒的に楽で、岡山城や後楽園へ向かうなら迷わず東山線に乗ってください。

西川緑道公園は、その名のとおり水路沿いに緑道が整備された気持ちのいい散歩道です。天気がよければ、岡山駅から柳川あたりまでは歩くほうが街の雰囲気を楽しめます。

目的地別・岡山駅からの行き方早見表

観光で使う範囲に絞ると、行き方は次のとおりです。後楽園だけは電車より東口のバスが便利という点が、意外と知られていません。

岡山駅から主要スポットへの行き方
目的地 おすすめの行き方 降りたあと
岡山城 東山線「城下」下車(160円) 徒歩約10分
岡山後楽園 岡山駅東口1番のりばの岡電バス(後楽園方面) 「後楽園前」下車すぐ
岡山県立美術館・オリエント美術館 東山線「城下」下車 徒歩約3分
天満屋・表町商店街 東山線「県庁通り」または清輝橋線「郵便局前」 徒歩すぐ
岡山芸術創造劇場ハレノワ 東山線「西大寺町・ハレノワ前」 徒歩約5分
岡山大学病院 清輝橋線「清輝橋」 西へ徒歩約10分
おかでんミュージアム 東山線「東山・おかでんミュージアム駅」 徒歩すぐ
池田動物園 岡山駅東口7番のりばの岡電バス 「京山・池田動物園」下車
岡山桃太郎空港 岡山駅西口21番のりばのリムジンバス(1,000円) 約30分
倉敷美観地区・備中松山城 JR(路面電車では行けません) 倉敷駅/備中高梁駅

空港リムジンだけは西口です。岡山駅のバスのりばは東口(後楽園口)と西口(運動公園口)に分かれていて、市内路線の大半は東口、空港リムジンバスは西口21番のりばから出ます。倉敷駅北口から空港へ向かう便もあり、こちらは1,400円・約35分です。

始発と終電|路面電車は22時台で終わる

公式時刻表(2025年12月1日改正)から、主要な始発・終電を抜き出しました。路面電車の終電は22時台で終わり、清輝橋線はさらに30分以上早く終わります。夜の会食などでは、帰りの足を先に考えておきたいところです。

始発・終電(2025年12月1日改正の公式時刻表より筆者集計・平日)
区間 始発 終発
岡山駅前発 東山行き 6時16分 22時11分
岡山駅前発 清輝橋行き 6時25分 21時30分
東山発 岡山駅前行き 6時00分 21時55分
清輝橋発 岡山駅前行き 6時37分 21時45分
城下発 岡山駅前行き 6時07分 22時02分

本数を数えると、平日の岡山駅前発は東山行き146本・清輝橋行き70本の合計216本。日中は東山線が1時間に10本、清輝橋線が5本で安定していて、平日朝8時台は東山行きが12本(5分未満の間隔)まで増えます。土日祝は東山行きが142本と、平日より少しだけ減ります。

時刻表は改正されることがあります。出かける前は岡山電気軌道の公式サイトか、トップページから開ける走行位置表示「電車どこ?」で確認してください。

2027年春、路面電車がJR岡山駅前広場へ乗り入れます

いま岡山駅前では、路面電車を約100m延伸してJR岡山駅東口広場に直接乗り入れさせる工事が進んでいます。岡山市の公式ページによると、乗り入れ完成(運行開始)は2026年度末、つまり2027年春の予定です。

  • 2019年事業化。翌年に軌道法に基づく特許を取得
  • 2021年工事着手。2023年にタクシーゾーン、2025年2月に一般車ゾーンが完成
  • 2025年7月岡山駅前電停の乗車ホームを廃止し、1ホームでの乗降共用に
  • 2026年6月駅前広場の公共交通案内所が完成
  • 2026年度末路面電車の乗り入れ開始(予定)
  • 2029年度駅前広場リニューアル全体の完成(予定)

全体事業費は約116.8億円(税抜)・税込121.9億円で、内訳は駅前広場40.1億円、地下街補強28.9億円、地下街補償25.8億円、軌道15.2億円、交差点改良6.8億円。軌道そのものより地下街の補強と補償のほうが高いのは、駅前広場の地下に岡山一番街が広がっているためです。国の交付金(補助率2分の1)を活用して整備されています。

完成すると、JR岡山駅を出てすぐの広場で電車に乗れるようになり、屋根付きの通路・案内所・待合所・トイレも整います。運賃改定の理由にも、この乗り入れ工事費の高騰が挙げられていました。

公式サイトリンク集|岡山の交通を調べるならここ

運賃や時刻表は改定されます。最新の情報は必ず各社の公式サイトでご確認ください。よく使うページをまとめておきます。

路面電車・バスの公式ページ(2026年9月時点でリンク生存を確認)
目的 公式ページ
路面電車の路線図・運賃・時刻表 岡山電気軌道「路線図・時刻表・運賃」
乗り方・ICカード 岡山電気軌道「ご利用方法」
運行情報・電車どこ? 岡山電気軌道 路面電車トップ
デジタル一日乗車券 RYDE PASS(おかでん)
岡山駅・天満屋のバスのりば 岡電バス「のりば案内」
ハレカ・割引制度 岡電バス「お得な制度・乗車券」
空港リムジンバス 岡山桃太郎空港「バスで」
駅前広場への乗り入れ事業 岡山市「岡山駅前広場への路面電車乗り入れ整備事業について」
市内の公共交通マップ 岡山市 交通政策課(公共交通マップ・えきバス時刻表)

市内を走るバス会社も載せておきます。運賃160円の共同経営に参加しているのは前の5社で、宇野バスは参加していません。

両備バス岡電バス下電バス中鉄バス備北バス宇野バス

よくある質問

Q. 岡山の路面電車の運賃はいくらですか?

A. 2025年10月1日から全線均一で大人160円・小児80円です。それ以前は区間により120円と140円の2段階でしたが、いまはどこまで乗っても同額です。

Q. 整理券は取るのですか?

A. 取りません。均一運賃なので整理券は出てきません。後ろの扉から乗り、前の扉で降りるときに160円を運賃箱へ入れます。おつりは出ないので、運賃箱の両替機で両替してください。

Q. SuicaやICOCAは使えますか?

A. 使えます。全国相互利用の交通系ICカードに対応していて、乗車口と降車時の2回タッチします。ただし車内でチャージできるのは地元のハレカだけなので、残高不足のときは現金で精算することになります。

Q. 一日乗車券は買ったほうが得ですか?

A. 大人400円なので、160円の乗車を3回する予定なら得です。2回だけなら都度払いのほうが80円安く済みます。車内のほか、岡山駅東口公共交通案内所などで購入できます。

Q. 岡山城と後楽園へは同じ電停ですか?

A. 岡山城は東山線の城下電停から徒歩約10分です。後楽園も城下から歩けますが、岡山駅東口1番のりばから出る岡電バスで「後楽園前」まで行くほうが楽です。

Q. 柳川で乗り換えると運賃は2回分かかりますか?

A. 原則は乗継券やICカードで追加運賃なしになりますが、岡山駅前・西川緑道公園・柳川のいずれかが乗車か降車の電停になる場合は対象外で、乗り継ぎ先でもう一度160円が必要です。

Q. 終電は何時ですか?

A. 岡山駅前発の東山行きが22時11分、清輝橋行きが21時30分です(2025年12月1日改正・平日)。清輝橋線のほうが40分ほど早く終わります。

参考:岡山電気軌道「路線図・時刻表・運賃」同「ご利用方法」岡電バス「お得な制度・乗車券」岡山市「岡山駅前広場への路面電車乗り入れ整備事業について」岡山桃太郎空港「バスで」

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