岡山の米の値段はなぜ下がる?2026年産14.4万トンと過剰在庫

岡山の米の値段はなぜ下がる?2026年産14.4万トン・全国スーパー5kg2,837円と岡山市のコシヒカリ価格のグラフ

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岡山県の2026年産の米(主食用)は、農林水産省の9月25日現在の予想で14万4,100トン。豊作だった2025年産(14万4,200トン)とほぼ同じ量です。一方で店頭の値段は下がり続け、全国のスーパーの平均は10月5日〜11日の週で5kg2,837円と、1年前より31.5%安くなりました(農林水産省 POSデータ)。山陽新聞は10月17日、岡山県産の銘柄米が過剰在庫で5キロ2千円台後半まで値下がりしていると報じています。

「去年あれだけ高かったのに、なぜ急に安いのか」「どこまで下がるのか」。この記事では、農林水産省の作物統計・相対取引価格・民間在庫と、総務省の小売物価統計を自分で集計し、岡山の米の量・在庫・値段をデータで追いました。数字は2026年10月18日時点です。

ちばける

新米の発売時期や品種ごとの値段は、別記事「岡山の新米2026はいつから・いくら?」にまとめています。この記事は「なぜ下がるのか」を数字で見る回です。

この記事でわかること
  • 岡山の2026年産は14万4,100トン(全国19位・中国四国1位)。2023〜24年より7.3%多い「多い年」が2年続いた
  • 収穫量のピークは1967年の36万7,000トン。今は当時の41%
  • 全国のスーパー平均は5kg2,837円。2025年末のピーク4,416円から35.8%下がった
  • 岡山市のコシヒカリ5kgは2026年8月で4,946円。2021〜23年の平均2,158円の約2.3倍で、全国81都市で4番目に高い
  • 岡山の2025年産は集荷した米の56%しか売れていない(全国は69%)。全国の民間在庫は8月末で過去最高の150万トン
  • 岡山県産コシヒカリの取引価格は60kg21,241円。1年前の約6割で、2年前より安い
目次

岡山の2026年産米は14万4,100トン|前年並みで全国19位

農林水産省が10月13日に公表した「令和8年産水稲の作付面積及び9月25日現在の予想収穫量」の岡山県の数字です。2025年産は同じ資料の「前年産との比較」から逆算しています。

2025年産2026年産(予想)前年との差
主食用の作付面積28,100ha28,200ha+100ha
10aあたり収量513kg511kg△2kg(前年比100%)
収穫量(主食用)144,200t144,100t△100t
作況単収指数103103—
  • 収穫量は全国19位(2025年産は18位)。中国・四国の9県では最も多く、2位の広島(10万1,400トン)を4万トン以上引き離しています
  • 広島が前年より5,500トン減(10a収量が前年比95%)なのに対し、岡山は100トン減にとどまりました。中国地方全体の10a収量は前年より8kg少ない511kgで、梅雨前線の長雨や日照不足の影響とされています
  • 岡山の収量の内訳は、穂の数が「やや少ない」、1穂あたりのもみ数は「前年並み」、もみの実り具合(千もみ当たり収量)は「前年並み」。数の少なさを実りでカバーした形です
  • 「作況単収指数」103は、過去5年のうち最高と最低を除いた3年の平均(497kg)との比較です。2025年産から、従来の「作況指数(平年比)」は使われなくなりました
  • 8月15日時点の見込みは、10a収量が平均比「やや上回る」、前年比「前年並み」でした。9月25日時点でもほぼその通りに着地しています
  • ※ここでの収穫量は、生産者が実際に使うふるい目(岡山は1.85mm)で選別した主食用の玄米です。1.70mmのふるいで数えると15万トンになります

岡山の米の収穫量の推移|ピークの1967年から6割減、でも今は「多い年」

e-Statの「収穫量累年統計 水稲 岡山(昭和33年〜令和7年)」から、岡山の水稲の収穫量を拾いました。まず長い目で見た流れです(子実用の収穫量)。

年産作付面積収穫量10aあたり収量
1958年83,600ha328,000t392kg
1967年79,600ha367,000t461kg
1980年52,300ha205,000t392kg
1990年45,000ha185,900t413kg
2000年36,700ha195,200t532kg
2010年33,800ha172,000t509kg
2020年29,800ha150,500t505kg
2025年28,600ha151,600t530kg

作付面積は1967年の79,600haから28,600haへ、ほぼ3分の1になりました。10aあたりの収量は増えたものの、収穫量はピークの41%です。減反と担い手の減少で、岡山の米は半世紀かけて細ってきました。

ところが直近の10年を主食用だけで見ると、別の姿が見えます。

年産主食用の作付面積10a収量主食用の収穫量作況単収指数
2015年29,600ha493kg145,900t98
2016年29,200ha521kg152,100t103
2017年29,100ha531kg154,500t106
2018年29,400ha504kg148,200t100
2019年29,300ha503kg147,400t100
2020年28,900ha475kg137,300t96
2021年27,900ha498kg138,900t101
2022年27,100ha496kg134,400t101
2023年26,900ha497kg133,700t101
2024年27,200ha496kg134,900t100
2025年28,100ha513kg144,200t103
2026年28,200ha511kg144,100t103

※2026年は9月25日現在の予想。10a収量・収穫量は生産者が使用しているふるい目幅で選別したもの。

  • 主食用の収穫量は2023年の13万3,700トンが底で、2023〜24年の平均134,300トンに対し、2025年・2026年はいずれも約7.3%多い水準です
  • 増えた理由の1つは面積です。主食用の作付面積は2023年の26,900haから2026年の28,200haへ1,300ha(4.8%)増えました。2024〜25年の米不足と高値を受けて、主食用に戻す動きが出たと見られます
  • 全国でも主食用の収穫量は2024年産の651万9,000トンから2025年産は718万1,000トンへ66万2,000トン(10.2%)増え、2026年産も710万5,000トンと高い水準が続きます
  • つまり「米が足りない」と言われた2024年から一転して、2年続けて多めにとれたのが2025〜26年です。値段を考えるうえでは、ここが出発点になります

スーパーの米の値段はどこまで下がった?|全国平均5kg2,837円

農林水産省は、全国約1,000店舗のスーパーのPOSデータから、米5kgの平均販売価格を毎週公表しています(農林水産省 小売店での米の販売数量・価格)。10月16日公表分までの週次データから、節目の週を抜き出しました。

週5kgの平均価格(税込)できごと
2025年2月3日〜3,829円コメ不足で上昇中
2025年6月30日〜3,602円政府備蓄米が店頭へ
2025年10月6日〜4,142円2025年産の新米期
2025年12月29日〜4,416円ピーク
2026年4月6日〜3,873円下落基調
2026年8月3日〜3,220円新米の出回り前
2026年9月7日〜2,971円3,000円割れ
2026年10月5日〜2,837円最新
  • ピークは2025年12月29日からの週の4,416円。そこから1,579円(35.8%)下がりました
  • 1年前の同じ時期(2025年10月6日〜)は4,142円で、前年比は-31.5%です
  • 2026年9月7日からの週に2,971円となり、3,000円を割り込みました
  • 下がり方は、8月3日〜9月7日の5週で249円、9月7日〜10月5日の4週で134円。最新週の下げ幅は前週比23円で、下げのペースはやや緩やかになっています
  • 内訳は銘柄米(販売量の79%)が2,878円、ブレンド米など(21%)が2,682円。安くなったことで販売数量は前年同期より22.8%多く、買う量が戻ってきています

岡山の店頭でも同じ流れです。山陽新聞は10月17日、岡山県産の銘柄米の店頭価格が値下がりし、過剰在庫を背景に5キロ2千円台後半のものも出ていると報じました。同じ日には、JA晴れの国岡山が総社市の産直施設「旬感広場」で2025年産玄米の特売をしたことも伝えています(山陽新聞 10月17日)。

岡山市のコシヒカリ5kgは4,946円|まだコメ騒動前の2.3倍

総務省の小売物価統計調査(動向編)は、毎月中旬に全国の店で同じ銘柄の値段を調べています。岡山市の「うるち米(単一原料米、コシヒカリ)5kg」を2021年1月から2026年8月まで68か月分集計しました。

月岡山市東京都区部広島市
2021年8月2,300円2,335円2,351円
2023年8月2,246円2,333円2,332円
2024年8月2,732円2,871円2,784円
2024年9月出回りなし3,285円3,302円
2024年10月3,758円3,787円3,583円
2025年3月5,252円4,679円4,728円
2025年6月5,432円5,072円5,458円
2025年12月5,432円5,366円5,202円
2026年4月5,216円4,966円4,797円
2026年5月4,784円4,870円4,689円
2026年7月4,802円4,564円4,313円
2026年8月4,946円4,326円3,908円
  • 2021〜23年の36か月の平均は2,158円。2026年8月の4,946円は、その約2.3倍です
  • 2024年9月は岡山市で調査銘柄のコシヒカリが店頭に出回らず、価格が記録されていません。いわゆる「令和の米騒動」で品薄が広がった時期にあたります
  • 最高値は5,432円(2025年6月・11月・12月)。2026年5月に4,784円まで下がったあと、6〜8月は4,800〜4,900円台で横ばいでした
  • 2025年8月の岡山市は全国81都市で最も高く、2026年8月も4番目の高さです。同じ月の広島市は3,908円で、岡山市より1,000円以上安くなっています
  • 東京都区部は9月分が出ていて、4,051円(前月より275円安い)。岡山市を含む都市別の9月分は、10月18日時点で未公表です

小売物価統計は1都市あたりの調査店舗が少ないため、月ごとに数百円単位で振れます。それでも「岡山市の店頭は全国より下がり始めが遅く、まだ高い位置にいる」ことは、1年分の並びから読み取れます。8月中旬の調査なので、9月に出回った2026年産の新米の安さは、9月分以降に表れてくると見られます。

値下がりの理由①|民間在庫150万トンは過去最高、岡山の2025年産は56%しか売れていない

値段が下がるいちばんの理由は、米が余っていることです。農林水産省の「令和8年8月末民間在庫量のポイント」によると、8月末の全国の民間在庫は150万トン(前年同月より66万トン多い)で、最も高い在庫水準です。

  • 内訳は、JAなど集荷業者の「出荷段階」が108万トン、卸売業者の「販売段階」が42万トン。販売段階は例年の同じ時期(20〜30万トン程度)を大きく上回ります
  • 1年間の需要見通しは693〜711万トン。そこへ2026年産の主食用710万5,000トンが加わるので、在庫を抱えたまま新米の季節に入った形です
  • 岡山県産の民間在庫は7月末29.8千トン、8月末23.3千トン。8月末のうち22.6千トンが2025年産の古米です

岡山の売れ残り具合がよくわかるのが、「令和7年産米の産地別集荷・販売状況」です。JAなどが集めた2025年産のうち、8月末までに実際に卸売業者などへ引き渡された量の割合を見ます。

集荷した量売れた量売れた割合
岡山県36.9千t20.5千t56%
 うちアケボノ7.2千t3.6千t51%
 うちきぬむすめ6.5千t3.3千t50%
 うちコシヒカリ4.7千t3.5千t74%
全国2,699千t1,875千t69%
  • 岡山の売れた割合56%は全国の69%を大きく下回り、45都道府県で低いほうから5番目(栃木と同率。下は群馬・福島・埼玉・佐賀)です
  • 前年同月と比べると、集めた量は114%に増えたのに、売れた量は90%に減りました。多くとれた米を高い値段で集め、それが売れ残っている構図です
  • 銘柄別では、岡山の作付けの多いアケボノ(51%)ときぬむすめ(50%)が半分しか売れていません。コシヒカリは74%です
  • この古米をさばくために、店頭では値下げや特売が続きます。KSBによると、JAは2027年6月の主食用米の在庫も過去最大級の過剰になると見ています(KSB 9月1日)

値下がりの理由②|岡山コシヒカリの取引価格は60kg21,241円、1年前の6割

店頭価格のもとになるのが、JAなどの集荷業者と卸売業者の間の「相対取引価格」です(農林水産省 米の相対取引価格)。玄米60kgあたりの全銘柄平均を年産ごとに並べました(相対取引価格の推移)。

年産全銘柄の平均(玄米60kg・税込)
2022年産13,844円
2023年産15,315円
2024年産25,179円
2025年産35,174円
2026年産(9月のみ・速報)21,287円

2026年産の出始め(9月)の取引価格は全銘柄平均で21,293円。1年前の9月(36,895円)より42%安く、2年前の9月(22,700円)も下回りました(令和8年産米の相対取引価格・数量(9月速報))。岡山県産コシヒカリに絞ると次のとおりです。

岡山県産コシヒカリ玄米60kgあたり
2024年産(2024年9月)22,641円
2025年産(2025年9月)35,936円
2025年産の平均(出回り〜2026年9月)36,103円
2026年産(2026年9月)21,241円(前年同月の59%)
  • 2026年産の岡山コシヒカリは、2年前の2024年産(22,641円)より安いところから取引が始まりました。玄米1kgに直すと約354円です
  • 2025年産の岡山県産は、平均でアケボノ34,723円、きぬむすめ35,413円と高値で取引されました。その高い仕入れ値の古米が、いま店頭で値下げされている米です
  • 米穀安定供給確保支援機構の「コスト指標」では、生産段階のコストは玄米60kgあたり20,535円(KSB 9月14日の報道による)。取引価格21,241円はその103%で、ほぼ生産コストと同じ水準です。取引価格には運賃・包装代・消費税も含まれるので、農家の手取りはさらに少なくなります

生産者側の値段も決まっていません。JA岡山とJA晴れの国岡山は9月、農家に前払いする「概算金」の算出を11月ごろまで見送り、出荷時に60kgあたり一律10,200円の一時金を払う方針を示しました(KSB 9月1日)。山陽新聞は10月18日、JA晴れの国岡山が概算金を当面示さないと報じています。一時金はコスト指標の約半分です。

岡山の米はいつ・どこまで下がる?|データで見る3つの目安

値段の先行きを言い切ることはできません。ここでは、手元のデータから読み取れる目安だけを並べます。

目安1:全国の店頭は「週30円前後」の下げに

POSデータでは、8月は5週で249円、9月は4週で134円下がり、最新週は23円の下げでした。8月は週平均50円ほど、9月以降は週30円あまりで、下落は続いていますが、勢いは夏より弱まっています。前年比では3割安の水準まで来ています。

目安2:岡山市の店頭は「これから」下がる余地

岡山市のコシヒカリ5kgは8月で4,946円と、全国平均(POS)の8月の3,000円台前半や東京都区部の9月(4,051円)より高い位置にあります。取引価格(全銘柄平均)が2万2,000〜2万4,000円台と、いまより少し高かった2024年10〜12月でも、岡山市の小売価格は3,758〜3,830円でした。統計の上では、岡山市の店頭価格にはまだ下がる余地が残っている、と読むことができます。

目安3:下げ止まりの材料もある

  • 国は2025年産の政府備蓄米21万トンの買い戻し手続きを9月中に始めるとしていました。ただ専門家は「在庫量の多さからすると価格にはほぼ影響がない」と話しています(KSB 9月14日)
  • 岡山の2JAの概算金が決まると、生産者側の値段の目線がはっきりします。9月の時点では11月ごろとしていましたが、山陽新聞は10月18日に「当面示さず」と報じており、決まる時期は未発表です
  • 取引価格が生産コストと同じ水準まで下がったため、来年以降に作付けを減らす農家が出れば、供給が絞られる可能性があります
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家計としては「古米の特売」と「新米」の値段がほぼ同じになっている今は、袋の年産表示を見て選ぶのがいちばん確実です。

岡山の米の値段・収穫量でよくある質問

岡山県の2026年産米の収穫量はどのくらいですか?

農林水産省の9月25日現在の予想で、主食用が14万4,100トンです。2025年産の14万4,200トンとほぼ同じで、全国19位、中国・四国では最も多い量です。作況単収指数は103でした。

なぜ米の値段が下がっているのですか?

米が余っているためです。全国の民間在庫は2026年8月末で150万トンと過去最高の水準で、岡山県産の2025年産も集荷した量の56%しか売れていません。2025〜26年に多くとれたことに加え、高値で需要が落ちた分が在庫として残っています。

スーパーの米は今いくらですか?

農林水産省のPOSデータでは、全国のスーパーの平均は2026年10月5日〜11日の週で5kg2,837円です。1年前より31.5%安く、2025年末のピーク4,416円から1,579円下がりました。

岡山市の米は全国より高いのですか?

総務省の小売物価統計では、岡山市のコシヒカリ5kgは2026年8月で4,946円で、全国81都市で4番目に高い値段です。2025年8月は81都市で最も高くなっていました。調査は8月中旬なので、新米の値下がりは9月分以降に反映されると見られます。

米の値段はこれからも下がりますか?

断定はできません。全国の店頭価格は下がり続けていますが、下げ幅は直近4週の平均で週30円あまりと、夏より小さくなっています。岡山県産コシヒカリの取引価格はすでに生産コストと同じ水準で、来年以降の作付けが減れば下げ止まる可能性もあります。

概算金と一時金の違いは何ですか?

概算金はJAが米を集めるときに農家へ前払いするお金で、例年は8月下旬〜10月上旬に決まります。2026年は岡山の2JAが算出を見送り、代わりに60kgあたり一律10,200円の一時金を払っています。概算金が決まれば差額が追加で支払われる仕組みです。

まとめ

  • 岡山の2026年産は14万4,100トンで前年並み。2023〜24年より約7.3%多い年が2年続いた
  • 全国のスーパーは5kg2,837円で前年比31.5%安。下げのペースは緩やかになってきた
  • 岡山市のコシヒカリは8月で4,946円と全国でも高く、コメ騒動前の約2.3倍
  • 全国の民間在庫は150万トンで過去最高。岡山の2025年産は56%しか売れていない
  • 岡山コシヒカリの取引価格は60kg21,241円で、生産コストとほぼ同じ。概算金は未定のまま

あわせて読みたい

※山陽新聞の10月17日「岡山県産銘柄米店頭価格値下がり」、10月18日「岡山26年産コメ収穫量」「コメ概算金当面示さず」の各記事を参考にしました。順位・割合・平均値は公表値から筆者が計算したものです。

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