JR岡山駅の東口(後楽園口)で進んでいる、路面電車(岡山電気軌道)を駅前広場に乗り入れる工事。2026年10月19日には、工事にあわせて岡山駅前交差点の横断歩道が駅側へ約25m移されました(KSB・OHK・RSK)。岡山市の資料では、乗り入れの完成は2027年(令和9年)3月の予定です(岡山市「2026年度の主な整備予定箇所」)。
「結局、どのくらい便利になるの?」「122億円もかけて何をつくっているの?」という疑問に答えるため、岡山市の公表資料と岡山県統計年報、地図データ(OpenStreetMap)を使って、電停が駅から何m近づくのか、事業費の内訳、路面電車の利用者数の推移を計算しました。数字はすべて2026年10月20日時点のものです。
ちばける横断歩道が変わったのは19日の午前10時から。前の場所には柵が置かれているので、駅前で迷わないよう注意してくださいね。
- 乗り入れ完成は2027年3月予定(具体的な開業日は2026年10月20日時点で未発表)
- 電停は駅舎から約173m→約17mに。約156m(約90%)近づく計算(地図データで筆者計測)
- 全体事業費116.8億円(税抜)のうち、線路そのものは13.0%。約半分(46.8%)は地下街の補強と補償
- 路面電車の乗客は2023年度に年312万人。コロナ前(2019年度)の84.3%まで回復
- 10月19日に横断歩道が駅側へ約25m移動。自転車通行帯と一体に(報道)
- 次は約0.6kmの「ハレノワ線(仮称)」で環状化。2029年度末の運行開始が目標
岡山駅前広場への路面電車乗り入れはいつ?|2027年3月完成予定
岡山市の事業ページでは、乗り入れの完成(運行開始)は「2026(R8)年度末」、2026年度の整備予定箇所の資料では「令和9年3月予定」とされています(岡山市 事業ページ)。報道各社も「2027年3月」と伝えています。ただし何月何日に走り始めるか、新しい電停の名前、ダイヤがどう変わるかは、2026年10月20日時点で未発表です。
事業の内容は、大きく分けて次の2つです。
| 工事 | 内容(岡山市の事業概要) |
|---|---|
| 路面電車の乗り入れ(〜2027年3月) | 線路を約100m延ばす(幅6.5m)/駅前広場の中に停留場を新設/駅前交差点に南進の左折レーンを新設 |
| 駅前広場の整備(〜2029年度) | タクシーと一般車の乗降場を入れ替え/電停の屋根、カスケード(滝)、公共交通案内所、駅舎前の長いひさし、バス乗り場の屋根、イベントスペース |
駅前広場は「後楽園に見立てた」デザインで整備されます。路面電車が走り始めたあとも広場のリニューアルは続き、全体の完成は2029年度の予定です。
ここまでの経過
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2014年8月〜 | 乗り入れ計画案の調査検討会 |
| 2019年5月 | 事業化 |
| 2020年3月 | 軌道法に基づく特許を取得(運行事業者) |
| 2021年4月〜 | 工事着手 |
| 2023年12月 | タクシーゾーン完成(広場の北側へ) |
| 2025年2月 | 一般車ゾーン完成(広場の南側へ) |
| 2025年7月22日 | ビックカメラ前の乗車ホームを廃止。東へ約70mの降車ホームで乗り降りする形に |
| 2026年6月1日 | 公共交通案内所が開館(6:30〜23:00・休館日なし) |
| 2026年10月19日 | 駅前交差点の横断歩道を駅側へ約25m移動(報道) |
| 2027年3月 | 路面電車の乗り入れ完成(予定) |
| 2029年度 | 駅前広場のリニューアル完成(予定) |
出典は岡山市の事業スケジュール(令和8年4月時点)、乗車位置変更のお知らせ、公共交通案内所の概要です。10月19日の横断歩道の移動は報道によります。
電停は駅に何m近づく?|地図で測ると約173m→約17m
岡山市は「JR岡山駅と路面電車の電停の距離が近くなり、わかりやすくなる」と説明していますが、具体的に何m近づくかは書いていません。そこで、地図データのOpenStreetMapに登録されている電停のホーム・工事中の線路・駅舎の形から、駅舎の東側の面からの直線距離を計算しました。
| 電停 | 駅舎からの直線距離 | いつ |
|---|---|---|
| ビックカメラ前の乗車ホーム(廃止) | 約132m(ホーム中央) | 〜2025年7月21日 |
| いまの乗降ホーム | 約173m(駅に近い端)/約185m(中央) | 2025年7月22日〜 |
| 駅前広場の新しい電停 | 約17m(新しい線路の終端) | 2027年3月〜(予定) |
- いまの乗降ホームの駅に近い端から比べると、約156m(約90%)短くなる計算です。歩く速さを分速80mとすると約2分。岡山市が説明する「改札から電停まで最大3分ほど短縮」(KSB 2026年7月14日)とおおむね合います
- 東洋経済は、いまの電停を「JR岡山駅から約200m離れた場所」と書いています(東洋経済オンライン 10月20日)。地図で測ったホーム中央までの約185mと近い値です
- 実は2025年7月の乗車ホーム廃止で、乗り場はいったん駅から遠くなっています。ホームの中央どうしで比べると約53m遠くなりました。いまは工事のための「一時的に遠い状態」です
- 地図データで測った新しい線路の長さは約100mで、岡山市の「約100m」と一致しました。廃止した乗車ホームといまのホームの間(端どうし約64m)も、市の「約70m」と近い値です
※新しい電停は、報道によると3本のレールに4つのホームがつくられます(RSK)。どのホームから東山行き・清輝橋行きが出るかは未発表のため、実際に歩く距離はホームによって数十m変わります。また、いまは横断歩道や地下道を通るので、実際の歩行距離は直線距離より長くなります。
「交差点を2回渡る」がなくなる
いまJR岡山駅から路面電車に乗るには、交差点を2回渡るか、地下道(岡山一番街)を通る必要があります(KSB・東洋経済)。乗り入れ後は駅前広場の中で乗り降りできるので、道路を渡らずに乗り換えられます。屋根付きの通路も整備され、高齢の方やベビーカー、大きな荷物を持った旅行者にとっての負担が大きく減ります。
いまの乗り場の場所や運賃の払い方は、下の記事にまとめています。


10月19日から岡山駅前交差点の横断歩道が約25m駅側へ
10月19日の午前10時、桃太郎大通りを渡る岡山駅前交差点の横断歩道が閉鎖され、西(駅側)へ約25mの位置に新しい横断歩道ができました(OHK 10月19日)。
- これまでの横断歩道は、路面電車の乗車ホームへ行く通路を兼ねていたため、交差点から少し離れた場所にありました。乗車ホームが2025年7月に廃止されたため移されました(KSB・OHK)
- これまで離れていた横断歩道と自転車専用通行帯が1か所にまとまりました(OHK・RSK)。歩行者と自転車が同じ場所を渡るので、すれ違いに気をつけてください
- 前の横断歩道には柵が置かれ、歩行者用の信号機は撤去されています(OHK)
- 横断歩道の幅や信号が変わるタイミング(サイクル)は変わっていません(RSK)
- 11月上旬には、車の停止線も新しい横断歩道の近くへ移す予定です(OHK)
- 岡山市は、交差点がコンパクトになって車がスムーズに通れるようになり、ドライバーが歩行者や自転車を確認しやすくなると説明しています(KSB・RSK)
※横断歩道の移動・停止線の移動予定は、2026年10月20日時点で岡山市の事業ページには載っておらず、報道で確認した内容です。
これまでの夜間の交通規制
軌道を敷く工事のため、駅前交差点ではこれまで夜間の交通規制が行われてきました(いずれも報道)。
| 期間 | 時間 | 内容 |
|---|---|---|
| 2025年11月24日〜12月1日、12月15日〜19日(土日除く11日間) | 22時〜翌5時 | 交差点付近の車両通行止め(舗装工事) |
| 2026年3月16日〜4月中旬 | 22時〜翌6時 | 全面通行止めはなし。市役所筋の車線規制、市役所筋の南から桃太郎大通りへの右折は期間の半分ほど通行止め |
| 2026年10月19日 | 10時〜 | 横断歩道を駅側へ約25m移動 |
| 2026年11月上旬(予定) | — | 車の停止線を新しい横断歩道の近くへ |
出典:KSB 2025年11月24日・KSB 2026年3月10日・OHK 2026年10月19日。開業までに追加の夜間規制があるかどうかは、2026年10月20日時点で未発表です。車で駅に来る方は、岡山市の「工事期間中の広場利用について」も確認してください(一般車は広場の南側=ホテルグランヴィア側から入ります)。
事業費121.9億円の内訳|約半分は「地下街」の費用
岡山市が公表している全体事業費は約116.8億円(税抜、令和8年4月時点)、税込で121.9億円です。報道で「約122億円」と出てくるのは税込の金額です。内訳を割合にしました(岡山市 事業ページ)。
| 項目 | 費用(税抜) | 割合 |
|---|---|---|
| 地下街補強 | 28.9億円 | 24.7% |
| 地下街補償 | 25.8億円 | 22.1% |
| 駅前広場 | 40.1億円 | 34.3% |
| 軌道 | 15.2億円 | 13.0% |
| 交差点改良 | 6.8億円 | 5.8% |
| 合計 | 116.8億円 | 100% |
- 地下街の補強(28.9億円)と補償(25.8億円)を足すと54.7億円、全体の46.8%。駅前広場の地下には地下街「岡山一番街」があり、その上に重い電車を走らせるための補強などが必要になります
- 線路そのもの(軌道)は15.2億円で13.0%にすぎません。約100mで割ると1mあたり約1,520万円です
- 参考までに、次に計画されている約0.6kmのハレノワ線(仮称)は全体事業費が約27.4億円で、1mあたり約457万円。駅前の約100mは「地下街の上」という特別な条件のぶん、費用がかさんでいることがわかります
- 駅前広場(40.1億円・34.3%)は、電停の屋根や公共交通案内所、長いひさし、カスケードなど、路面電車以外の利用者も使う施設の費用です
- 財源は、国の交付金(補助率2分の1)や有利な起債を最大限活用するとされています。ただし、116.8億円のうち国の交付金の対象になる額と、実際の市の負担額は、事業ページでは公表されていません
OHKによると、計画は地下街の補強工事などにともない、完成時期が当初より段階的に後ろ倒しになってきました(OHK 2026年7月14日)。報道では、事業費について市民から「多額ではないか」という声が寄せられているとも伝えられています(KSB 7月14日)。
路面電車の利用者はコロナ前の84.3%|年312万人
乗り入れで利用者は増えるのでしょうか。まずは現状です。岡山県統計年報(令和5年版)に、岡山電気軌道の路面電車(営業キロ4.7km)の年間の乗客数が載っています。1日あたりは年度の日数(うるう年は366日)で割って計算しました。
| 年度 | 年間の乗客 | 1日あたり | 2019年度比 |
|---|---|---|---|
| 2019年度 (令和元年度) | 3,705,999人 | 約10,126人 | 100.0% |
| 2020年度 (令和2年度) | 2,423,780人 | 約6,640人 | 65.4% |
| 2021年度 (令和3年度) | 2,467,593人 | 約6,761人 | 66.6% |
| 2022年度 (令和4年度) | 2,919,057人 | 約7,997人 | 78.8% |
| 2023年度 (令和5年度) | 3,124,709人 | 約8,537人 | 84.3% |
- コロナ禍の2020年度は2019年度の65.4%まで落ち込みました
- 2023年度は約312万人(1日あたり約8,537人)で、2019年度の84.3%。まだ年に約58万人少ない状態です
- 岡山市地域公共交通計画は、路面電車の利用を「長期的には横ばい、2010年度から2019年度までは微増傾向」と分析しています
- 東洋経済によると、ハレノワ線(仮称)のハレノワ前電停の利用者は1日約700人と見込まれています(東洋経済)。駅前広場への乗り入れそのものによる利用者の増加見込みは、市の事業ページには載っていません
- 2025年10月1日から運賃は大人160円(全線均一)になっています
その先は「ハレノワ線」で環状化|2029年度末が目標
駅前広場への乗り入れは、路面電車ネットワークを広げる計画の第一歩です。岡山市は次の段階として、「ハレノワ線(仮称)」の延伸・環状化を進めています(岡山市 ハレノワ線のページ)。
| 駅前広場への乗り入れ | ハレノワ線(仮称) | |
|---|---|---|
| 延ばす長さ | 約100m | 約0.6km |
| 新しい電停 | 駅前広場内 | 岡山芸術創造劇場ハレノワ前 |
| 事業費 | 116.8億円(税抜) | 約27.4億円 |
| 運行開始 | 2027年3月予定 | 2029年度末(目標) |
| 特徴 | 道路を渡らずJRと乗り換え | 単線・左回り、ピーク時1時間3本以上、一部は歩道沿い(サイドリザベーション) |
- いまの路面電車は東山線(3.0km)と清輝橋線(2.1km)の2路線だけで、駅から放射状に延びています(岡山市路面電車ネットワーク計画)。ハレノワ線ができると2路線がつながり、輪になります
- 東洋経済によると、ハレノワ線は既存路線の大雲寺前電停と西大寺町電停の間を結びます。岡山駅周辺と、約1km東の表町(天満屋や商店街)の行き来を増やすのがねらいです
- 駅から市役所方面への延伸は、2001年に車線を減らす交通実験まで行われましたが、年間約9,000万円の赤字が見込まれたことなどから中断された経緯があります(東洋経済)
同じ2027年3月には、駅東口の再開発でできる複合施設「OKAYAMA.GATE.PLACE」も開業予定です(OHK・KSB)。2027年春の岡山駅東口は、電車・広場・ビルが一度に新しくなります。
岡山駅前広場の路面電車乗り入れ よくある質問
- 岡山駅前広場への路面電車の乗り入れはいつからですか?
-
岡山市の資料では、2027年(令和9年)3月に完成する予定です。具体的な運行開始日は2026年10月20日時点で発表されていません。
- 乗り入れで電停は駅にどのくらい近くなりますか?
-
地図データ(OpenStreetMap)で駅舎の東面からの直線距離を測ると、いまの乗降ホームは約173m、新しい電停(線路の終端)は約17mで、約156m近くなる計算です。岡山市は改札から電停までの時間が最大3分ほど短くなるとしています。
- 事業費はいくらですか?
-
全体事業費は約116.8億円(税抜)、税込で121.9億円です。地下街の補強と補償が合わせて54.7億円で、全体の約半分を占めます。国の交付金(補助率2分の1)が活用されています。
- 岡山駅前の横断歩道はどこに変わりましたか?
-
2026年10月19日から、桃太郎大通りを渡る岡山駅前交差点の横断歩道が、駅側(西)へ約25m移りました。自転車専用通行帯と同じ場所を渡る形になり、前の横断歩道には柵が置かれています。
- いま路面電車にはどこから乗ればいいですか?
-
2025年7月22日から、ビックカメラ前の乗車ホームは廃止され、その東約70mにある元の降車ホームで乗り降りします。東山行きと清輝橋行きが同じホームから出ます。
- 運賃は変わりますか?
-
大人運賃は2025年10月1日から160円(全線均一)です。乗り入れにあわせた運賃の変更は、2026年10月20日時点で発表されていません。
- 駅前広場の工事はいつ終わりますか?
-
路面電車の乗り入れは2027年3月の予定ですが、その後も駅前広場のリニューアルが続き、全体の完成は2029年度の予定です。
まとめ
- 岡山駅前広場への路面電車乗り入れは2027年3月完成予定。開業日・新電停名・ダイヤは未発表
- 電停は駅舎から約173m→約17mへ。約156m近づき、道路を渡らずに乗り換えられる
- 事業費116.8億円(税抜)の46.8%は地下街の補強・補償。線路そのものは13.0%
- 路面電車の乗客は2023年度に約312万人で、コロナ前の84.3%
- 10月19日に横断歩道が駅側へ約25m移動。11月上旬には停止線も移る予定(報道)
- 次はハレノワ線(仮称)で環状化、2029年度末の運行開始が目標
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- 岡山市 岡山駅前広場への路面電車乗り入れ整備事業について
- 岡山市 2026年度(令和8年度)の主な整備予定箇所(PDF)
- 岡山市 概要図(PDF)
- 岡山市 公共交通案内所概要(PDF)
- 岡山市 路面電車岡山駅前電停の乗車位置変更について
- 岡山市 岡山駅東口広場工事期間中の広場利用について
- 岡山市 路面電車の延伸環状化(ハレノワ線[仮称])について
- 岡山市 岡山市路面電車ネットワーク計画
- 岡山市地域公共交通計画 第2章(PDF)
- 岡山県統計年報(令和5年版)表90 私有鉄道旅客及び貨物輸送実績(PDF)
- 地図データ © OpenStreetMap contributors(ODbL)2026年10月20日取得
- KSB瀬戸内海放送(2026年10月19日)
- OHK岡山放送(2026年10月19日・Yahoo!ニュース)
- RSK山陽放送(2026年10月19日・Yahoo!ニュース)
- KSB瀬戸内海放送(2026年7月14日)
- OHK岡山放送(2026年7月14日)
- KSB瀬戸内海放送(2025年11月24日)
- KSB瀬戸内海放送(2026年3月10日)
- 東洋経済オンライン(2026年10月20日)
- アイキャッチ写真:MaedaAkihiko「Okayama-Ekimae-STA Crossing.jpg」CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)
※距離は地図データ上の直線距離で、筆者が計算したものです。新しい電停の位置は工事中の線路の終端で代表させています。1日あたりの乗客数は年間の乗客数を年度の日数で割った値です。


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