岡山のB級グルメ完全ガイド
定番から穴場まで地元民が愛する10品
瀬戸内の海と中国山地の山に挟まれた「晴れの国」岡山は、知る人ぞ知るご当地グルメ天国。デミカツ丼やえびめしといった岡山市の定番から、B-1グランプリで全国区になったひるぜん焼そば・津山ホルモンうどん、冬限定のカキオコまで、由来・特徴・代表店・食べ歩きモデルコースを丸ごと解説します。
岡山のB級グルメが面白い3つの理由
「晴れの国」と呼ばれる岡山は、年間を通して降水量が少なく、温暖な気候が農畜水産物の生産に向いています。果物(白桃・マスカット)の印象が強い県ですが、実はご当地グルメの密度が全国でも屈指。岡山のB級グルメの面白さは、次の3点に集約できます。
① 瀬戸内・山間・平野部の食文化が混ざる
南は瀬戸内海、北は中国山地、中央には岡山平野。県内で気候も食材も大きく異なるため、海の幸(牡蠣・ままかり)、山の幸(蒜山ジャージー牛・ホルモン)、平野部の米と小麦文化(うどん・ラーメン・焼そば)が、それぞれ別の郷土食として発展してきました。
② 戦後生まれの「庶民の創作料理」が多い
デミカツ丼・えびめしのように、洋食文化が地元食堂で独自にアレンジされた料理が多いのも岡山の特徴。お腹いっぱい食べてもお財布に優しい、まさに「B級」の精神が息づいています。
③ B-1グランプリで全国区に
2011年の第6回B-1グランプリ(兵庫県姫路市開催)では、岡山勢が大躍進。ひるぜん焼そばが第1位(ゴールドグランプリ)、津山ホルモンうどんが第2位(シルバーグランプリ)と上位を岡山勢が独占しました。
岡山のB級グルメ定番10選
デミカツ丼
デミグラスソースをたっぷりかけた洋風カツ丼こそ、岡山市民にとっての「カツ丼」。卵でとじる関東風でも、ソースをくぐらせた福井系でもなく、ご飯の上に千切りキャベツ、トンカツ、グリーンピース、そして濃厚なデミグラスソースが層を成すのが岡山スタイルです。
発祥は昭和6年(1931年)、岡山市内の老舗とんかつ店「味司 野村」(現:カツ丼 野村)とされます。創業者・野村佐一郎が東京での修業時代に帝国ホテルのドミグラスソースに感動し、開業時から提供を始めたのが始まり。一子相伝のレシピで12時間かけて仕込まれるソースは現在も健在で、揚げ物なのにどこか後味が爽やかです。
- 食べられるエリア
- 岡山市中心部全域
- 価格帯
- 900〜1,500円前後
- 代表店
- カツ丼 野村(旧店名:味司 野村/岡山市北区)ほか、市内の洋食店・定食屋多数
えびめし
真っ黒な見た目に驚きながら、一口食べると止まらなくなる――それが岡山のソウルフード「えびめし」です。小さなエビがたっぷり入った、デミグラス風の濃厚ソースで炒めた焦げ茶色の混ぜご飯で、薄焼き卵やグリーンピースが添えられるのが定番スタイル。
ルーツは東京・渋谷のカレー店「いんでいら」が昭和30年(1955年)から提供していたメニュー。岡山出身の店員・出井達海氏が暖簾分けの形で許可を得て、1966年に岡山市奉還町に「いんでいら奉還町店」を開業し、地元向けにスパイシーさを強めてアレンジしました。現在では「えびめしや」を中心としたチェーンや、洋食店・喫茶店で広く提供されています。
- 食べられるエリア
- 岡山市・倉敷市の洋食店、喫茶店
- 価格帯
- 800〜1,200円前後
- 代表店
- えびめしや 万成店(岡山市北区)など
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津山ホルモンうどん
古くから牛肉文化が根付いてきた津山ならではの一皿が「津山ホルモンうどん」。新鮮な牛ホルモン(小腸・大腸など)を、味噌や醤油ベースの甘辛ダレと一緒に鉄板で炒め、最後にうどんを絡めて仕上げます。
津山は江戸時代、彦根藩と並んで藩公認で「養生喰い」として牛肉が食された珍しい土地。だからこそ良質なホルモンが安価に手に入り、戦後の精肉店や食堂で「もう一品の主食」として広まりました。2011年の第6回B-1グランプリでシルバーグランプリ(2位)を獲得して全国に知られ、今では津山市内で提供する店舗は50軒以上にのぼります。プリプリのホルモンの食感と、香ばしいタレの香りがクセになる一皿です。
- 食べられるエリア
- 津山市全域(食堂・焼肉店・お好み焼き店)
- 価格帯
- 900〜1,500円前後
- 代表店
- 橋野食堂、おふくろ、まるしんなど
お取り寄せ・通販で楽しむ
ひるぜん焼そば
標高500m前後の高原リゾート、蒜山(ひるぜん)の名物が「ひるぜん焼そば」。最大の特徴は、味噌をベースにニンニクや果実、調味料をブレンドした甘辛い味噌ダレ。具材は鶏肉(親鶏)とキャベツのみと至ってシンプルなのに、唯一無二の味わいに仕上がります。
各家庭・各店で「ウチのタレ」が代々伝えられ、戦後の食糧難の時代に各家庭で工夫されたのが原型と言われます。2011年のB-1グランプリで頂点に立ち、「ひるぜん焼そば好いとん会」が中心となってブランド化を推進。蒜山高原を訪れたら、ジャージー牛乳のソフトクリームとセットで楽しみたい一品です。
- 食べられるエリア
- 真庭市蒜山高原一帯
- 価格帯
- 800〜1,200円前後
- 代表店
- 悠悠、ますや食堂、やまな食堂など
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カキオコ
瀬戸内海に面した日生(ひなせ)町は、全国でも有数のカキの産地。冬季限定(おおむね11月〜3月)で楽しめるご当地グルメが「カキオコ」=牡蠣入りお好み焼きです。プリプリの大粒牡蠣がこれでもかと入った贅沢な一枚で、磯の香りとソースのコクが絶妙にマッチします。
もともと地元で日常的に食べられていたものが、2002年頃から「日生カキオコまちづくりの会」(前身は日生カキお好み焼き研究会)によって町おこしとして発信され、シーズンには行列ができる人気グルメに。15軒以上のお好み焼き店が「カキオコ」をのぼり旗で掲げ、食べ比べも楽しい町です。
- 食べられるエリア
- 備前市日生町(冬季限定)
- 価格帯
- 1,000〜1,800円前後
- 代表店
- お好み焼 もりした、お好み焼 タマちゃん、ほり川など
笠岡ラーメン
岡山県西部の港町・笠岡市の名物が「笠岡ラーメン」。チャーシューに豚肉ではなく醤油で煮込んだ親鶏(かしわ)を使うのが最大の特徴で、鶏ガラベースの澄んだ醤油スープと、ストレートな細〜中細麺との相性が抜群です。
戦後、地元の養鶏場で廃鶏となる親鶏を有効活用するため、ラーメン店がこぞってかしわチャーシューを採用したのが起源。脂っこさはなく、噛むほどに味が出るかしわは、和風出汁好きの日本人に深く刺さる味わいです。市内には20軒以上の専門店があり、食べ比べツアーが組まれるほど。
- 食べられるエリア
- 笠岡市内
- 価格帯
- 700〜1,000円前後
- 代表店
- 中華そば いではら、坂本(屋台)、らーめん来来軒など
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ぶっかけうどん
今や全国区となった「ぶっかけうどん」ですが、その発祥は岡山県倉敷市とされます。茹で上げたうどんに濃いめのつゆを直接かけ、たっぷりの薬味(ねぎ・天かす・大根おろし・温泉卵など)でいただくシンプルかつ奥深い一杯。
昭和40年代(1960年代後半〜1970年代前半)に倉敷市の「ふるいち」初代・2代目社長が考案したスタイルが原型で、ざるうどんと具を丼に盛りつゆをかけたまかない料理がきっかけだったと伝えられています。現在は冷・温・大盛りなど多彩なバリエーションが楽しめ、倉敷美観地区の散策途中に立ち寄れるうどん店も多く、「観光のお昼ご飯」としての定番。コシの強い麺と濃いつゆ、生卵を絡めたときの満足感は唯一無二です。
- 食べられるエリア
- 倉敷市・岡山市
- 価格帯
- 500〜900円前後
- 代表店
- ぶっかけ亭本舗 ふるいち、手打ちうどん 名玄など
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備中高梁インディアントマト焼そば
備中松山城で知られる山あいの町・高梁(たかはし)市のご当地焼そばが「備中高梁インディアントマト焼そば」。「インディアン」とはカレー風味を指す呼び方で、昭和50年代に高梁市の学校給食で人気だったカレー味の焼きそば「インディアン焼そば」に、地元名産のトマトを加えてアレンジしたのが始まりです。
高梁産のトマトは「桃太郎トマト」など糖度が高い品種が多く、加熱すると旨味と甘さが凝縮。カレースパイスとの相性も抜群で、見た目は赤く食欲をそそります。高梁商工会議所が組織する「備中高梁食援隊」がPRに取り組んでおり、市内の指定加盟店で限定提供される、知る人ぞ知る穴場メニューです。
- 食べられるエリア
- 高梁市内
- 価格帯
- 900〜1,300円前後
- 代表店
- 高梁市内の指定提供店(観光協会で確認可)
そずり鍋
津山の冬を代表する郷土料理が「そずり鍋」。「そずる(削ぎ落とす)」という津山弁が名の由来で、牛のあばら骨周りの肉を削ぎ落とした「そずり肉」を、根菜やきのこ、豆腐とともに煮込む滋味深い鍋料理です。津山藩は江戸時代に彦根藩と並び、幕府公認で牛肉食が許されていた数少ない地域。そずり鍋は「干し肉」「あらの煮込み」「ヨメナカセ」と並ぶ津山の牛肉料理四天王のひとつとされます。
津山ならではの牛肉文化を背景に、骨に残ったわずかな肉も無駄にしない知恵から生まれた料理で、薄切り肉とは異なる骨際の濃厚な旨味が特徴。寒い時期に食べると体の芯から温まり、地元では家庭料理としても、料理店の鍋メニューとしても親しまれています。
- 食べられるエリア
- 津山市
- 価格帯
- 1,500〜3,000円前後(鍋)
- 代表店
- くいしん坊本店、お多福、津山市内の鍋料理店
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ままかり寿司
岡山の郷土食として外せないのが「ままかり」。標準和名はサッパで、瀬戸内海でよく獲れる小ぶりな魚です。「あまりに美味しくてご飯(まま)を借りに行くほど」というのが名前の由来とされる、酢漬け文化の代表格。
酢漬けにしたままかりを使った「ままかり寿司」は、岡山の冠婚葬祭にも欠かせない一品で、農林水産省の「郷土料理百選」にも選定されています。さっぱりとした酸味と、青魚の旨味が上品にまとまり、酒の肴としても、ご飯のお供としても完璧。岡山駅構内の駅弁としても販売されており、お土産にも人気です。
- 食べられるエリア
- 岡山市・備前市・玉野市の寿司店、和食店、駅弁
- 価格帯
- 1,000〜2,500円前後
- 代表店
- 吾妻寿司(岡山駅)など
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エリア別・食べ歩きモデルコース
岡山のB級グルメは県内に広く分布しているため、滞在エリアを決めて回ると効率的です。日帰り〜1泊2日の旅行で組みやすい3つのモデルコースを紹介します。
【日帰り・岡山駅周辺】定番グルメ三昧コース
- 11:00岡山駅着/ままかり寿司を駅構内で軽くつまむ
- 12:00岡山市北区の老舗洋食店でデミカツ丼ランチ
- 14:00後楽園・岡山城観光
- 17:00市内の喫茶店でえびめしを味わう
【1泊2日・県北】牛肉文化と高原リゾートコース
1日目は津山市で津山ホルモンうどん+そずり鍋を堪能し、2日目は蒜山高原に移動してひるぜん焼そばとジャージー乳製品を満喫。津山〜蒜山は車で約1時間、岡山県北のグルメロードを満喫できる王道ルートです。
【日帰り・県南西】瀬戸内の海鮮と麺コース
冬季なら備前市日生でカキオコを食べ、移動して笠岡市で笠岡ラーメンを一杯。締めに倉敷美観地区へ移動してぶっかけうどん&白壁の街並み散策。海と麺と歴史を1日で楽しめる、地元車移動の人気コースです。
岡山のB級グルメに関するFAQ
岡山で一番有名なB級グルメは何ですか?
認知度ではデミカツ丼とえびめしが岡山市の二大B級グルメとして有名です。全国区の話題性では、2011年第6回B-1グランプリでひるぜん焼そばが1位(ゴールドグランプリ)、津山ホルモンうどんが2位(シルバーグランプリ)を獲得し、岡山勢のワンツーフィニッシュで知名度を一気に高めました。
岡山駅周辺で食べ歩きしやすいB級グルメは?
駅から徒歩圏で楽しめるのはデミカツ丼・えびめし・ぶっかけうどん・ままかり寿司。短時間滞在ならこの4つを軸に組み立てるのがおすすめです。
カキオコは年中食べられますか?
カキオコは牡蠣のシーズン(おおむね11月〜3月)限定で提供する店がほとんど。日生に行くなら冬がベストシーズンです。一部、冷凍牡蠣を使って通年提供する店もあるので、夏に訪れる際は事前に問い合わせるのが確実です。
ひるぜん焼そばと普通の焼そばの違いは?
最大の違いは味噌ベースの甘辛ダレを使うこと。ソース焼そばや塩焼そばとは全く異なる風味で、具材も鶏肉(親鶏)とキャベツのみのシンプル構成。各店オリジナルのタレ配合が決め手です。
津山ホルモンうどんは予約が必要ですか?
平日ランチは予約不要の店が多いですが、土日や観光シーズンは行列必至。人気店は予約可能な場合もあるため、訪問前に電話で確認することをおすすめします。
デミカツ丼とソースカツ丼の違いは?
ソースカツ丼(福井・長野など)はとんかつソースをくぐらせるのに対し、岡山のデミカツ丼は洋食のデミグラスソースをたっぷりかけます。コクと深みのある味わいで、付け合わせのキャベツや卵焼きとも相性抜群です。
岡山のB級グルメをお土産にできますか?
ままかりの酢漬け、ひるぜん焼そばの調理キット、笠岡ラーメンの生麺セット、えびめしのレトルトソースなどが土産物として販売されています。岡山駅構内の土産物店や、各エリアの道の駅で入手可能です。
一人旅でも入りやすいお店はありますか?
ラーメン店・うどん店・お好み焼き店はカウンター席があり、一人でも入りやすい雰囲気。デミカツ丼・えびめしを出す洋食店もランチタイムは一人客が多く、観光客でも気軽に利用できます。
子どもと一緒に楽しめるB級グルメは?
えびめし・デミカツ丼・ぶっかけうどんは辛みもなく、子どもでも食べやすい味付け。ひるぜん焼そばも甘辛ダレなので、お子様連れ家族にぴったりです。
B級グルメ巡りに便利な交通手段は?
岡山市内・倉敷市内はJR・路面電車・バスで移動可能ですが、津山・蒜山・日生といった県北・県南エリアを回る場合はレンタカーが圧倒的に便利。岡山駅・倉敷駅でレンタカーを借りるのが定番です。
まとめ|岡山のB級グルメは「庶民の創造力」が結晶した宝庫
岡山県のB級グルメは、洋食を独自に翻案したデミカツ丼・えびめしから、地元食材を活かした津山ホルモンうどん・ひるぜん焼そば・カキオコまで、土地ごとの食文化と庶民の知恵が凝縮された「食の博覧会」とも呼べる多彩さが魅力です。
岡山駅周辺で気軽に味わえるものから、季節・エリア限定でしか出会えないものまで、訪れるたびに発見があるのも岡山B級グルメの楽しみ方。次の岡山旅行では、ぜひ本記事のリストを参考に、「庶民の本気」が詰まった一皿を味わってみてください。
※掲載している店舗情報・価格は記事公開時点のものです。営業時間・メニュー・価格は変更となる場合がありますので、訪問前に各店舗の最新情報をご確認ください。

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