岡山弁一覧|よく使う方言を例文付きで徹底解説【完全保存版】

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岡山弁、確かな35語|出典のある方言を例文付きで【厳選版】
Hakuto岡山弁手帖 No. 01  ·  OKAYAMA
Verified Okayama Dialect

岡山弁、確かな言葉だけを。
——出典のある35語、ていねいに。

岡山弁にはたくさんの語が伝わっていますが、世に出回る方言一覧の中には出典のあいまいなものも少なくありません。本記事では、Wikipedia「岡山弁」、岡山県・岡山市の公的資料、レファレンス協同データベース、複数の方言研究記事といった独立した出典で意味と用法が確認できた語のみを厳選し、例文と由来を添えてお届けします。

35 verified words 9 categories Reading 8 min

— 01 —岡山弁とは|分類と特徴

岡山弁は、岡山県全域で話される方言の総称で、言語学的には中国方言の山陽方言に属し、その南東端の「東山陽方言(吉備方言)」に分類されます。隣接する広島県東部の備後弁とも近く、関西弁の影響を受けながら独自に発達してきました。県内の方言は令制国にもとづいて備前(岡山市周辺)・備中(倉敷・高梁周辺)・美作(津山周辺)に区分され、語彙やアクセントにゆるやかな地域差があります。

連母音の融合

岡山弁の発音上の大きな特徴は連母音の融合です。「ai/ae/ei/oi/oe」が「えー」に、「ui」が「いー」になります。たとえば「赤い」が「あけー」、「長い」が「なげー」、「太い」が「ふてー」、「ここへ」が「こけー」になるのは、すべてこの変化によるものです。

— 02 —強調・程度|「とても」のたくさんの言い方

岡山弁といえば、まずはこのカテゴリ。「すごい」「とても」を意味する語が複数あり、年代や地域によって使い分けられます。

岡山弁意味例文/標準語訳
でーれーとても/すごくでーれーうまいが/ものすごく美味しいよ
ぼっけーとても/非常にぼっけー寒いのー/ものすごく寒いね
もんげーすごく/とんでもなくもんげー人がおる/ものすごく人がいる
ぼっこーとても/むちゃくちゃぼっこー旨い/とても美味しい
ようけたくさんようけ食べんさい/たくさん食べなさい
なんぼいくら/どれだけこれなんぼ?/これいくら?
「もんげー岡山!」のはなし。2014年9月、岡山県は方言を活かしたPRキャンペーンを開始し、ネット投票で「でーれー」「ぼっけー」「もんげー」の3語から候補を選びました。結果、「もんげー」が48%を集めて選定され、「もんげー岡山!」として全国に発信されることに。以来、観光・移住PRに広く使われています。

— 03 —感情・状態|気持ちを伝える

岡山弁意味例文/標準語訳
たいぎい面倒くさい/だるい動くんがたいぎい/動くのがだるい
しわい疲れた/噛み切れない仕事でしわかった/仕事で疲れた
えれー疲れた/とてもえれー疲れた/とても疲れた
おえんダメ/いけないそりゃおえんで/それはダメだよ
きょーてー怖いあの犬きょーてー/あの犬怖い
はぶてるすねる/機嫌を悪くするすぐはぶてる子じゃ/すぐすねる子だ
しょーたれだらしないしょーたれな格好/だらしない格好
かばち憎まれ口/文句かばち言うな/文句言うな
わやめちゃくちゃ計画がわやじゃ/計画が台無しだ
「たいぎい」は古語「大儀」から。「面倒くさい」を意味する岡山の代表語ですが、語源は古語の「大儀(たいぎ)」。本来は「おおごと」「ひと仕事」を表していた言葉が、「気の重い」「面倒だ」という方向にゆるやかに変化したと考えられています。
「しわい」は二重の意味。固いお肉が「噛み切れない」場合と、仕事や日常で「骨が折れる・しんどい」場合の両方で使われます。中国地方で広く共通する語です。

— 04 —動作・行動|よく聞く動詞

岡山弁意味例文/標準語訳
いぬ帰る/去るもういぬるわ/もう帰るよ
みてる無くなる/尽きる米がみてた/米が無くなった
めぐ/めがす壊す(他動詞)誰がめいだん?/誰が壊したの?
ちばけるふざけるけがするけー、ちばけられな/けがするから、ふざけるなよ
けっぱんずくつまずく石にけっぱんずいた/石につまずいた
「いぬ」は古語の生き残り。「往ぬ」と書き、「去る・帰る」を意味する古典語が、岡山ほか西日本で現役で使われ続けている例。県外の方が「犬」と勘違いしやすい代表格です。
「みてる」は意味が真逆に聞こえる語。標準語の「見ている」と区別がつきません。「お米がみてる=お米が無くなった」と理解しないと意味が真逆になるので要注意。

— 05 —場所・指示語|こそあど

「ここへ」「そこへ」「あそこへ」といった連母音が融合してできた、岡山弁らしい指示語です。

岡山弁意味例文/標準語訳
こけーここに/こっちにこけー来られー/こっちに来なさい
そけーそこに/そっちにそけー置いといて/そこに置いといて
あけーあそこに/あっちにあけーあるが/あそこにあるじゃん
ねき近く/そば駅のねき/駅のそば

「ねき」は岡山弁で「近く・そば」を表しますが、美作地方ではあまり使われない語です。広島弁や上方方言とも共通し、中国・近畿の広い範囲で生きている古層の言葉です。

— 06 —身体・暮らし|生活の中の岡山弁

岡山弁意味例文/標準語訳
うったて書き始め/物事の初めうったてが大事じゃ/書き始めが大事だ
すいばりとげ/木のささくれ指にすいばり刺さった/指にとげが刺さった
「うったて」は岡山を代表する独自語。書道で「とめ・はね・はらい」の前にくる「書き始めの一筆」のこと。語源は古語「打ち立て(打ち始め)」と考えられ、能の心得書(約600年前)にもさかのぼれる古い表現です。岡山県の小学校では今も書写の時間に「うったてが大事」と教えられ、岡山県を中心に香川県の一部などでも使われています。
「すいばり」は岡山・広島・山口といった山陽地方で広く共有される語で、語源は「薄い針」あるいは「吸い針」(指に刺さったとげを吸い出した習慣)など複数の説があります。

— 07 —食べ物・大きさ|くらしの語彙

岡山弁意味例文/標準語訳
でーこ/でーこん大根でーこてーてーて/大根を炊いといて
こまい小さいこまい虫がおる/小さい虫がいる

岡山のバスガイド名物フレーズに「でーこ、てーてーてー」(大根を炊いておいて)があります。「大根(だいこん)」が「でーこ」、「炊いて」が「てーて」と、すべてが連母音融合で短く詰まった結果、まるで暗号のような響きに。岡山弁の音の特徴が凝縮された名フレーズです。

— 08 —文末表現と語尾|らしさを決める

岡山弁の「岡山らしさ」は、語尾でほぼ決まります。基本となる5つの語尾を押さえれば、ぐっと岡山弁らしい話し方ができます。

語尾意味例文/標準語訳
〜じゃ〜だ(断定)これがうまいんじゃ/これが美味しいんだ
〜じゃろ〜だろうそりゃそーじゃろ/それはそうだろう
〜じゃが〜だが/〜だよねええ天気じゃが/いい天気だね
〜けー〜だから眠いけー寝る/眠いから寝る
〜が〜じゃないか(強調)言うたが/言ったじゃん

断定の「じゃ」は中世から近世にかけて畿内で使われていた助動詞「じゃ」が西日本に残ったもので、現代では岡山・広島・山口・四国の一部で活発に使われています。理由を表す「〜けー」は広島の「〜じゃけぇ」と並ぶ姉妹的な表現です。

— 09 —「しよん」と「しとん」|進行と結果のアスペクト

標準語では「〜ている」一語で済ませる動作を、岡山弁では「進行(いま動作中)」と「結果状態(もう終わってる)」を語尾で区別します。中国・四国・九州の西日本方言に共通する特徴で、岡山弁の知的な側面と言える文法です。

意味例文/ニュアンス
〜よる/しよん進行(〜している最中)飯食いよん/いま食事中
〜とる/しとん結果(〜してしまっている)もう食べとん/もう食べ終わっている

たとえば「彼はもう来ている」と「いま来ている途中」を、岡山弁ではきれいに区別できます。「もう来とん」は到着済み、「いま来よん」は移動中。標準語ではどちらも「来ている」となり、文脈に頼るしかない場面で、岡山弁は語尾だけで意味を切り分けられるのです。

— 10 —ミニ会話例|流れで覚える

本記事で確認できた語だけを使った、ふたつの場面例です。

場面1|友達との待ち合わせ

A.もう着いとん?/もう着いてる?

B.まだじゃ、あと5分でいくけー/まだだよ、あと5分で行くから

A.ようけ待たすなや〜/たくさん待たせるなよ〜

B.ほんま、たいぎいんじゃ、しわいて/ほんと、面倒なんだ、疲れてて

場面2|晩ごはんのテーブル

母.ようけ食べんさい、米まだあるけー/たくさん食べなさい、ご飯まだあるから

子.これでーれーうまい!/これすごく美味しい!

母.でーこも食べりー、こさえたんじゃけー/大根も食べなよ、作ったんだから

— 11 —岡山弁の周辺|作品とPR

岡山弁にもっと触れたい方には、横溝正史の金田一耕助シリーズ『八つ墓村』がおすすめです。岡山県北の真庭・新見一帯がモデルとされ、舞台となった村は近隣に実在した真庭郡八束村(現・真庭市蒜山)が下敷きで、洞窟のモデルは新見市の満奇洞と考えられています。多治見家の屋敷外観には岡山県高梁市成羽町の広兼邸が映像化作品で使われました。あさのあつこの小説『バッテリー』は岡山県美作地方を舞台に少年たちの野球を描き、方言の温度感が物語の核になっています。

方言が地域ブランドの一翼を担う例として、2014年に岡山県が「もんげー岡山!」キャンペーンを開始しました。葛城ユキ・桃瀬美咲・岩井志麻子といった著名人が「でーれー/ぼっけー/もんげー」をそれぞれ推し、ネット投票で「もんげー」が1位に。以来、岡山県のPR・観光・移住促進の場面で広く活用されています。

— 12 —よくある質問

岡山弁と広島弁の違いは?

どちらも語尾「〜じゃ」を使うため似ていますが、理由表現に差があります。広島弁は「〜じゃけぇ」「〜じゃけん」、岡山弁は「〜じゃけー」「〜じゃが」。また、岡山弁の独自語「うったて」は広島では通じません。

「おえん」はどんなときに使う?

「お終い」「手に負えない」が縮まった語で、「もうダメ」「いけない」を意味する万能の禁止表現。「そりゃおえんで」(それはダメだよ)など、軽い注意から強い否定まで使えます。

「もんげー」は今も使われている?

美作地方や年配層では現役。岡山市内の若者は「でーれー」を選びがちです。2014年の岡山県PRキャンペーン「もんげー岡山!」で全国に広まり、観光・移住PRの場面で広く活用されています。

「たいぎい」と「しわい」の違いは?

「たいぎい」は気持ちが乗らない・面倒くさいという心理面、「しわい」は体が疲れた・噛み切れないという肉体感覚に重心があります。古語「大儀」が「たいぎい」の語源です。

「うったて」は岡山だけ?

岡山県を中心に香川県の一部などでも使われていますが、ほかの地域ではほとんど通じません。語源は古語の「打ち立て(打ち始め)」で、能の心得書にもさかのぼれる歴史ある語です。

— 13 —出典一覧

本記事の記述は、以下の独立した出典で内容を確認しました。

  1. 岡山弁 – Wikipedia(東山陽方言の分類、連母音融合、文法、アスペクト)
  2. 山陽方言 – Wikipedia(中国方言の階層分類)
  3. 岡山県の方言「うったて」について – 国立国会図書館 レファレンス協同データベース(語源・意味)
  4. 「もんげー岡山!」始動 – 岡山県公式(PRキャンペーン開始)
  5. 日高貢一郎「『もんげー 岡山!』でイメージアップ大作戦」 – 三省堂(PR背景・投票経緯)
  6. 『八つ墓村』×岡山ロケ地 – 岡山観光WEB(公式)(『八つ墓村』の舞台)
  7. 岡山弁講座「しわい」 – 岡山マニア(語義・用法)
  8. 第36回「ちばける」(岡山県)- 小学館「ことばのまど」(「ちばける」の意味・例文)
  9. ちばける(岡山の方言)- 全国方言辞典/goo辞書(辞書登録)
  10. 金田一耕助シリーズの聖地巡礼 – 岡山マニア(『八つ墓村』モデル地)

※本記事は出典で確認できた語のみを掲載しました。一般的な岡山弁辞典には掲載があるものの、複数出典での裏取りが取れなかった語は本版では割愛しています。岡山県は地域・世代・話者によって表現が変化するため、実際の会話で耳にした表現を最も信頼できる「生きた岡山弁」として大切にしてください。

ほな、また岡山で。

— see you in OKAYAMA —

HAKUTO  ·  OKAYAMA DIALECT JOURNAL

白桃手帖 — 岡山弁を、ていねいに。

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