【岡山県】倉敷市の40代男性から赤痢菌が検出

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赤痢菌(シゲラ属)は、急性の胃腸炎を引き起こす一般的な細菌で、特に発展途上国での水や食品を介した感染が問題になっています。この細菌は腸内で活動し、下痢、腹痛、発熱などの症状を引き起こすことで知られています。赤痢菌による感染は、しばしば汚染された水や食物、または感染した人との直接的な接触によって発生します。治療には通常、適切な水分補給と抗生物質が用いられますが、耐性菌株の出現も問題となっています。この細菌に関する研究は、感染症の予防と治療法の改善に重要な役割を果たしています。

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赤痢菌

赤痢菌(Shigella)は、グラム陰性の通性嫌気性桿菌で、腸内細菌科に属する一属です。ヒトやサルの腸内にのみ感染するこの細菌は、主に汚染された食物や水を通じて人間に感染し、細菌性赤痢の原因となります。赤痢菌は腸管の上皮細胞内で活動し、細胞内移動には細胞骨格の一部であるアクチンを利用します。この移動機能により、細菌は隣接する細胞へ侵入し感染を広げる能力を持っています。

この細菌は1898年に志賀潔によって発見され、彼の名を取って「Shigella」と名付けられました。この事実は、病原細菌の学名に日本人研究者の名が付けられた唯一の例として注目されます。赤痢菌に関する研究は、感染症の予防と治療法の改善に重要な役割を果たし続けています。

特徴

赤痢菌は腸内細菌科に属する微生物で、約0.5×1-3µmの棒状の形態をしています。この細菌は運動性がなく、鞭毛も持たないため、自身で移動することはできません。赤痢菌は、リジンの脱炭酸を行わない点や、多くの株がラクトースを分解しない点で、大腸菌やサルモネラと生化学的に区別されます。また、酸に対して比較的強い抵抗性を持っているため、胃酸による殺菌を受けにくく、少量でも発病する可能性があります。

赤痢菌属は大腸菌属と非常に近い関係にありますが、DNA-DNA分子交雑法による最近の分類では、遺伝子レベルでの区別が難しいことが明らかにされました。ただし、医学的な観点からは、赤痢菌は大腸菌に比べてより重篤な病気を引き起こすことが多いため、両者は別種として扱われています。

赤痢菌属は、生化学的な特性や抗原性の違いに基づき、AからDの4つの亜群に分類されています。これらの亜群はそれぞれ異なる種として扱われます。例えば、A亜群には志賀赤痢菌(S. dysenteriae)が、B亜群にはフレキシネル赤痢菌(S. flexneri)が含まれます。さらに、C亜群にはボイド赤痢菌(S. boydii)、D亜群にはソンネ赤痢菌(S. sonnei)が分類されています。

赤痢菌の分離と培養には、SS寒天培地やDHL寒天培地などの特別な選択分離平板培地が用いられます。これにより、赤痢菌を特定し、研究や診断に役立てることが可能です。

病原性


赤痢菌属は、細菌性赤痢の主な原因となる4つの亜群に分類されています。この中で、A亜群(S. dysenteriae、志賀赤痢菌)は最も毒性が強く、シガトキシンという強力な外毒素を産生します。B亜群(S. flexneri)とC亜群(S. boydii)も毒性が強い一方、D亜群(S. sonnei)は比較的毒性が低いです。先進国では衛生環境の改善により、A亜群による感染は減少していますが、B亜群やD亜群による赤痢は依然として存在し、特にD亜群によるものは症状が軽いため、不顕性感染のケースが報告されています。

細菌性赤痢は、汚染された食物や水からの経口感染が一般的ですが、患者の排泄物に触れた手指を介することや、ハエによる媒介も感染経路として知られています。赤痢菌は胃酸に強く、わずかな量でも感染することがあります。

主な症状は下痢や発熱で、重篤な場合には膿粘血便が見られます。「赤痢」という名前は、出血性の下痢に由来しています。感染による組織の傷害や、感染した細胞が放出する炎症性サイトカインによって引き起こされると考えられています。通常、潜伏期間は1-5日で、症状は1週間程度で軽快します。

日本では、赤痢は1950年代に流行し、特に小児において致命的な疫痢が発生しましたが、赤痢発生の減少と共にその発生も見られなくなりました。現在、日本では細菌性赤痢が三類感染症に、赤痢菌4菌種が四種病原体に指定されています。

治療には抗生物質が用いられますが、薬剤耐性を持つ株も多く、治療薬の選択が重要です。現在、赤痢に対する有効なワクチンは開発されていません。予防には、感染者の完全な治療と環境衛生の改善が重要です。

また、サルも人間と同様に赤痢菌に感受性を持つことが知られています。

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